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 幸子さちこの背中が遠い。


 手を伸ばせば届く距離なのに。


「だからぁ、私はポテサラだと思う!」


「どうかな。昨日唐揚げは仕込んだけど」


「えー!じゃあ唐揚げじゃん……まー、シュウジ君とゴーグルおじさんの唐揚げ美味しいけどさー」


「シュウジも揚げるの上手くなったしね……ねぇみっちゃん?」


 急に二人が振り返って、アタシは変な愛想笑いをしてみたけど、うまく笑えなかった。


「……疲れちゃった?みっちゃん」


「わ!」


 幸子さちこがずしっと肩を組んでくる。


「ね!疲れたよね☆でも久々の学校楽しかったー!私だけクラス違うのが納得してないけどさっ」


「で、でも明日の体育も課外授業も一緒じゃん……」


「まあさ☆……ね、ミカ。今日の授業なにが一番楽しかった?ご飯食べながら聞かせてー☆」


「ん」


 幸子さちこにそう言われて、沈んでいた気持ちがちょっぴり明るくなる。


幸子さちこも聞かせてね。ん……?」


 どこかでみた影。


 真っ直ぐな黒い瞳がこちらに駆けて来る。


「みんなっ!!」


 糸井いとい桃菜ももな。ロボちゃん。


「も、戻ったほうがいい!教室にっ」


 息を切らせた瞳は、獣のように見開かれていた。


「ろ……ロボちゃん……?」


 ビー!ビー!ビー!ビー!……!!!


 アタシたちのモバイルの警告音が、一斉に鳴った。

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