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 ハムスター……いや、整ったアンドロイド。どこかヒョウみたいなロボちゃんの不思議な黒い瞳は、優しくて可愛くて、どこか遠いけど親しみが湧いた。


 身長が同じくらいだからってのもあるかもしれない。


「せっかくだから、皆んなで少しお茶していきますか?」


 そうちゃんの提案に、わ!と思ったけど、ロボちゃんはダメみたいだった。


「明日の課外授業の予習したくて。本当はHyLaハイラに入る予定じゃなかったから、予習したくて」


 ロボちゃんの瞳は真っ直ぐで、キラキラ、わくわくしている。


 アタシは急に、アタシのおさげが綺麗に結われているか、気になって髪を触った。


「OK、まぁ今度クラス……搭乗者パイロットクラスのみんなでランチでも」


「もちろん!ほっしー、幸子さちこ雨沢あまさわさん、ではまた!」


 楽しそうに裏路地を駆け出す背中に手を振り、アタシは嬉しさも焦りも感じていた。


「いい子そうだね」


 同じくロボちゃんを見送る幸子さちこの横顔も、どこか遠く思える。


 アタシはなんでこうなんだろう……


 友だちのキラキラした空気が好きで、怖くて、ため息が出る。


「私たちも帰ろっか☆」


 帰ったらシュウジのお茶を飲もう。


雨沢あまさわサン、3組だけでゴハン行かないでよね!」


「どうする?みっちゃん」


 決める権利なんて、無い。





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