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「ほっしー、どうしたの?」


「いやべつに」


 三叉路で、アタシの腫れ上がったまぶたをみて、ショーコが微笑んだ。


「まー、卒業式だしね」


「ショーコは綺麗だね、ワンピース」


 つややかな深緑のワンピースの真ん中に、スズランのコサージュ。


 サラサラの長いおさげにはアタシと色違いのガラスビーズと金の鈴が付いた飾りゴムが揺れていた。


「宮本さん!こんにちは!」


 ショーコのお母さんに元気に挨拶をした母の胸元は、前に、シュウジと一緒にプレゼントした藤柄のラベンダー色のスカーフでいい感じに隠れていた。


 ショーコのお母さんも、ライトベージュのワンピースが上品で可愛かった。


 親と一緒に登校なんて、なんだかむず痒いけど少し嬉しい。


 保護者対抗バレーボール大会で一緒に学校に行って、大人も子どもも白熱したことを思い出した。


 結局シュウジはあの後帰って来て朝ごはんを、しっかり食べて、先に学校に行った。

 後輩たちが、先に準備をしてくれるのだ。


 シュウジとの最後の登校を味わうこともないままこの日を迎えてしまったけど、ま、アタシの行く公立中学校も近くなので、通学路は変わらない。


「いい日になりそうですね」


 誰からともなくそんなことを呟いた、透き通るような青空だった。

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