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ピュスイッ!!!
——緋色の男の前で、碧い球体が膨らんだ。
あの男は我だ。
どうしても消したかった。
何度も、何度も引き金を引いた。
——でもその度に殲滅の軌道は碧い球体に飲み込まれた。
「アクアフルールは、ライズブレスでも展開が可能だ」
エネルギーが無くなるまで、何度も引き金を引いた。
「どうして!
不気味な男は決して倒れない——
「
連射で、指が熱くなる。
…カチ、カチ……と渇いた音がして、辺りが仄暗くなる……
「……エネルギー切れだ」
右手から、ワルサーの感触が消えた。
「俺は死ぬわけにはいかない。……君も、そうじゃないのか」
違う……生きてたって、何にもなりはしない。
「楽しく……無かったのか」
楽しい……楽しかった。それが苦しかった。何故自分が……罪悪感に押し潰れてしまいそうになる。
「君のせいじゃない」
俺のせいだ。俺でも良かったはずだ。
かけがえの無いものは消えていき、どうだっていいものばかりが積まれていく。
「昇れよ」
嫌だ。……辛いだけだ。
「どうして……」
俺が悪いんだ……
「昇れよ!」
「どうして俺なんだよ!!!」
自分の声が、仄暗い
「もう、終わりにしたいんだ」
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