「純之助（じゅんのすけ）……長いな。ジュンでいいかな。えっと……遅れてすみません」

　渡辺（わたなべ）！？

「姉（あね）！それいいね！ジュン君！今日からよろしく！」

　違う……、似てる……けど、このツインテールの小学生女子は……

「ほっしーとシュウジだ。相良（さがら）純之助（じゅんのすけ）君、座りたまえ」

　緋色の男は、研修時も基本仁王立ちで、やけに我に冷たかった。

　別に構わない。

　クラスメイトも、教師も、我を空気のように見ないふりをするか、強く当たった。

　ただこの男については、我を一人前の搭乗者（パイロット）にするという目的が見てとれたし、感情で当たることは無かった。むしろ、常に感情を感じず、そこに冷たさを覚えた。

　赤いゴーグル、緋色のコートに身を隠して、どこか虚（うつろ）な温度のない闇は、もしかしたら我と同類なのかもしれない。

　何日目かの塔（ウテナ）の中で、君は僕と同類だ、と男も言った。

「ジュン君、i-con（アイコン）だよ。好きな椅子を出してOKだよ」

　そう言って星ヶ咲（ほしがさき）萩爾（しゅうじ）の出したのは小学校の椅子だ。なんの変哲も無い硬い椅子……我は好きな椅子を出させてもらおう。

「ま、禍々しいね？」

　呆れたように、少し楽しそうに、ほっしーがこちらを見て笑ったのが……渡辺（わたなべ）と重なる。

「我……お、俺は魔王だから」

　思わず口をついた言葉。

「何だそれ」

　渡辺（わたなべ）が居るみたいに。

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