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 いつの間にか年が明けて、数日経っていた。


 晴れの明星、シュウジとアタシはまた、新しい敵ディストレスと対峙していた。


 白んできた空の向こうに、異形の金色の瞳。


 巨大な赤い梅の木を見下ろすように、畝る神龍しんりゅうの尾は、竜巻のような風を起こしていた。


 雲は、コックピットに直接干渉し、搭乗者パイロットの運動経路を麻痺させるとそうちゃんは言った。


「レイダーの天敵……」


 合わない相手が現れた場合、逃げるしかない。そう言った。


 それでも、ただ怯えるのではない。


 相手を知り、理解し、距離を置く。


あいつは雲そのもの。晴れの日は発生しない!」


 休んでも、頑張っても、何をしても結局ダメな時もある。


 それでも……!


実華みか!!!」

「うん!」


「「薄明はくめいの光が白炎びゃくえんとなる」」


「俺の」

「私の」


「「力を光に変えて」」


「「切り裂け!!」」


 ハイドロレイダーの水素針すいそしんに天空から光が集まり、剣となる。


「「ディストレス!!!」」


「「エクセキュート!!!!!!!!」」


「「ブレーーーード!!!!!!!!!!!!」」


 何度だって、心に芯を持つ。


「ダメ!神龍あいつ再生する!!!」


「大丈夫だ実華みか!もう一回!!!」


「「ブレード!!!」」



 神龍しんりゅうが堕ちる。



 新しい大地に。



 勝てない相手がいても、怖くても。



「「アロー!!!」」



 光が降る。












 










 

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