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「「一、二、サブロー!!!!」」


「なにそれ、今年もやるの!?」


「あったり前でしょ!?」


 ショートケーキとシャンパンでいい気持になって、アタシはハジメと肩を組んでサブローを祝った。


 二十歳になったことが本当に嬉しい。うぅ……本当に嬉しい……。


「アタシたちは兄弟なのよ!かけ声が必要なのよ!!」


「よっ仁花にか様!天才!!!」


 アタシの良くわからない理屈を肯定するハジメの声援に、更にいい気持ちになってくる。


「でっしょー!?ほら!」


 アタシは丁寧にラッピングされたケースをサブローにパスした。


「おっとと、これって……」


「新しいサングラス、ほら、サブローが好きな司会者と同じデザインの」


「わ!面白!!!」


 嬉しそうなサブローにアタシは更に気を良くする。


「ハジメとアタシが、すっっっっごく一生懸命働いて買った、すっごい高い最新のオートクチュ~ルのやつだからね~大事にしなよね」


「……うん!」


 サブローの目は、二十歳になった今も、灰色のままだった。


 立体メイクで瞳の色を変えることはできるけど、アタシたちはサブローの目がいいと思っていたし、好きな俳優やアスリートと同じモデルのサングラスを欲しがるから、どんなに高くても用意した。


 今年も喜んでくれて嬉しい。

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