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「「おめでとー!」」


 夜のニュースに、ホーリーチェリーが映し出されていた。

 

2年前、世界の首都、大世界の人工島アイランドオブピースに突如顕現した8メートルもの巨木。


 去年も一昨年も開花はせず、今年も咲かずに冬になったけれど、神聖なその佇まいは大世界の人工島アイランドオブピースのシンボルとなっていて、夜の天気予報に必ず映っている。


 テレビ画面の右上には今の時刻、19:19分。


 テレビ横のホロカレンダーには、


 1日


 小さく、そう浮かび上がっていた。



 明日はクリスマス。

 サブローの誕生日。


「ごめんね~、明日夜勤だから、今日になっちゃって」


「いいよ、二十歳にもなって当日じゃなきゃとか嫌だとか無いし、それに仁花にかとハジメの方がめでたいよ。IOPに赴任なんて」


「お正月、一緒に過ごせなくてごめんね」


「いいっていいって。それより、今までありがとう。仁花にかとハジメのおかげで二十歳になれた。もう、一人で大丈夫だから」


「な!やめなさいよそんなこと言うの。花見には来なさいよ、絶対。それに来年の誕生日は一緒に過ごすわよ!」


「わかってるって」


 四畳半と六畳のこのアパートで、アタシは幸せだった。


 サブローを守るために、必死で働いたし、ハジメを支えてきた。


 サブローが二十歳になったことが嬉しかった。

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