AId、出現……――抗え、純白のノエル

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仁花にかさん」


 ハジメはアタシをそう呼ぶ。

 両親がいなくなってから。

 もう三十路だというのに、二十四のアタシを。


炒飯チャーハン作ってよ、頼むよ」


 兄はなんにも出来ない。仕事以外は。

 アタシも一応、仕事してるのに……。


 花を愛でる暇なんてないくらい、毎日忙しい。


「……仁花にか様って言いなさいよ」

「イエス、仁花にか様」


 ふっと笑ってアタシは炒飯チャーハンを焼いてやる。


仁花にか様、サブロー、今日遅いってさ」


 ハジメはテレビを観ながら腹筋していた。


「へぇ。おぅ、鍛えて、偉いじゃんハジメ」


 鍛えて貰わないと困る。ハジメが我が家の柱なのだから。


 テレビの画面はビカビカと光っている。

 バカな芸人がバカなことを言って。

 兄は楽しそうに笑っている。


 右上には今の時刻、18:18分。


 テレビ横のホロカレンダーには、


 30日


 小さく、そう浮かび上がっていた。


仁花にかさん夜勤?」


 兄の問いに、アタシはため息をついた。


「そ」

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