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 炒飯チャーハンのお皿を洗って、

 アタシは冷蔵庫に貼られたサブローの写真を見つめた。


 サブローはハジメとアタシの弟だ。

 それ以上でもそれ以下でもない。


仁花にか、小さい手だね。可愛い」


 まだアタシを仁花にかと呼んでいたハジメ。

 小さい頃の記憶。


 ハジメが手を伸ばした先には、

 小さな妖精のような……

 雪の精霊のような、サブローが居た。


「これが弟……?嘘……」


 アタシは高揚していた。

 生命とAIの混血。人類の偉勲。

 これは聖なるArtificial Intelligence of distress《廃哀の人工知能》ではないだろうか。


「……」


 小さな妖精は、柔らかい力でアタシたちの手を握った。


仁花にか、可愛いね」

「……うん」


 アタシはサブローのぽっこりとした温かいお腹に触れた。


「可愛い……」


 サブローは、隕石のように強く、不思議な灰色の瞳でアタシたちを見つめた。


「妖精みたいだね。でもほら、口の形とかさ、仁花にかに似てる」


 ハジメが指差した先に、アタシたちと同じ形の口がもぐもぐと何かを呟いていた。


 鼻の形が、ハジメに似ている気がした。

 灰色の瞳も、不思議に惹きつけられた。


「僕たちと同じ、可愛い子どもだよ」

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