42

「どういう意味だと思う!?」


 校庭を走りながら、アタシはショーコに聞いた。


「何が!?ほっしい速くなったね!!」


 息を切らせて、アタシたちはトラックの隅に座って次の走者を見つめた。


 何事もなく行われる体育の授業。


 太陽が綺麗で眩しかった。


「ショーコ……アタシって、もやしっぽい?」


「えっ!?」


 シュウジが帰って来て、三姉妹は機嫌良く帰って行ったが(姉妹も地下基地のアパートに住むそうだ……)なぜかアタシへの態度が冷たい気がした。


 確かにアタシはもやしっ子かもしれない。

 昔は、と言いたい。


 古代の本や漫画が好きだし、基本、家や図書室にこもって、運動も苦手だった。


 だけど、地球を救うために、アタシは、そりゃ、たまに休みをとって、ショーコとのんびりお茶したりもするけれど、毎日トレーニングをしてるし、少しは鍛わってると自信がつき始めていた……。


 なのに……。


「もやし……好きだけどね?」


 やっぱりアタシはもやしなのか!


「よく分からないけど、落ち込んでるならお茶でも飲んでく?今日は発掘作業、ないんでしょ?」


 こくり。


 アタシは力無く頷いた。


 アタシはまだ、放課後は埋蔵金探しをしていると言っていた。


 レイダーがメンテ中のためトレーニングは今は休みになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る