35

 アタシたちはヤマタノオロチを倒した。


 残るはホーリーローズバラ


 でも、ブレイズレイダーの動きが、止まった。


そうちゃん……?」


 一輪の薔薇ばら……。


 下の階のお母さんが好きな花。


 ハイドロレイダーのアローだけでは、下まで貫けずに再生してしまう。


そうちゃん?」


 ご飯を食べて、仕事に行って……。


そうちゃん!」


 でもそうちゃんは、他に何をしていただろうか。


 周りを喜ばせて、でも自分のことは?


そうちゃん!」


 そんなのって……


「……てよ」


 昔は、好きなこといろいろ教えてくれた。


「生きてよ!!!」


実華みか!揺れるよ!備えて!!アクアフルール!!!!!」


「はぁ!?うぅう……っ!!」


 両腕から振動に襲われた!


そうちゃん見て!」


 シュウジが叫んだ。


 薔薇ばらは、アクアフルールたちに包まれて、不格好な紫陽花あじさいのようだった。


 そうちゃんは泣いているようだった。


「……この世の全てがあかく染まる」


 ……え?


「僕の希望ねがいほのおに変わる」


 そうちゃん、台詞せりふなしで攻撃出る……よね。


「燃え上がれ!!!」


 でも!


「ディストレス!」


「スカーレット!!!!!!」


「ブレイズ!!!!!!!!!!!」


 緋色の炎に一輪の薔薇ばらが優しくかれていく。


 一筋の煙が、天に続いているように、立ち昇っていった。


 アタシは、下のお母さんを想って泣いた。

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