薄明のハイドロレイダー

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「アクアフルール！！！」

　荒野に、シュウジの声が響き渡った。

　紫陽花（あじさい）の花が広がっていくように、レイダーの手のひらに亜空間バリアが広がって行く。

　富士山の裾野（すその）は、古代に繰り返された噴火によって、広大な荒野になっていた。

　そびえる富士山の向こうに、ポツンと生える、一輪のホーリーローズ（バラ）……にアタシたちは辿り着けないッ！

「宗（そう）ちゃん、右と上と下と左！シュウジ左と上！！！！……と右！」

　エリア静岡に着地したアタシたちは、富士山の裏から現れた蛇（へび）……の頭が八本。しっぽが八本の生物の攻撃を受けていた！

　あれってヤマタノオロチだよね！？

「OK！全方向だね！」

　宗（そう）ちゃんも亜空間バリアを展開しながら何匹かのしっぽを焼いていくが、動きが速すぎて再生してしまう。

　シュウジはヤマタノオロチたちの目を潰していく（怖）が、アタシの攻撃は当たらない！

「二人とも、左右！！！」

　せめて、攻撃が来そうな方向は教えたい。

「「OK！」」

　役に立ってるのかわからないけど、徐々に宗（そう）ちゃんとシュウジの動きが合ってくる。

　昔、二人で地域のサッカー大会に出た時みたいだ。

「シュウジ！」「宗（そう）ちゃん！！」

　完璧なタイミング。

　宗（そう）ちゃんが全てのしっぽを焼いて、シュウジが全ての頭を地面に縫い留めた。