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 そうちゃんは、ついさっきと同じように、ちゃぶ台に座った。


そうちゃん凄いよ!」


 シュウジが目を輝かせいる。


 母は並々の麦茶をそうちゃんの前に置いた。


「完璧だよ!宗一郎君!!!」


「そうですか?これでみっちゃんとシュウジが学校に行けますかね」


 テレビには、まだ金色のレイダーが写っている。


「いや、どうしてそうちゃんがここに?ていうか……なんで!?」


 アタシはそうちゃんをにらんだ。


 アタシはシュウジみたいに受け入れられない。そうちゃんはなんでも教えてくれた。急に会えなくなって、辛かったのはアタシだけなの!?


「……腕輪のワープは一方通行なんだ。コックピットのカプセルは、トレーニングルームのカプセルに繋がっていて、メディカルチェックの後、この区画にワープできるようになっている。レイダーは HyLAハイラが事後に回収して、メンテナンスルームにワープさせるんだ。それで……そうだね、基本的には、手分けして貰って大丈夫だし、今はみんな休んでもらっていていい」


 ……。


 そう、ホーリーチェリーは三年前に開花し、三年後、別の場所に根付いた。


「シュウジ、学校好きだしさ」


 ……言い訳のように、そうちゃんが言った。


実華みかそうちゃん、飲みなよ」


 コーヒーの湯気が登った。

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