　宗（そう）ちゃんのおかげで、学校に通えるようになった。

　楓（かえで）のことがあるから、通学はワープで行っている。

　楓（かえで）は宗（そう）ちゃんと会えなくなった後に来たのに、なぜだか宗（そう）ちゃんによく懐いた。

　普通に毎日登下校して、放課後、トレーニングを行う。

　ディストレスが出た時は HyLA（ハイラ）の人か、宗（そう）ちゃんが全て倒してくれている。

　というか、宗（そう）ちゃんも HyLA（ハイラ）の人になっていた。籠（こも）っていた間に、通信制の大学の学位を取ったのだという。

　母もこうなって、前の職場を辞めていたので、いつの間にか HyLA（ハイラ）の人になっていた。

　アタシたちは昔みたいにみんなで朝ごはんを食べ（何故か毎朝サブローがいる）、なるべく、みんなで夜ごはんを食べた。

　けど、アタシは宗（そう）ちゃんと、どう接していいか分からなかった。

「姉（あね）、僕だってまだ悲しいよ」

　母と宗（そう）ちゃんの帰りを待ちながら、シュウジが言った。

　アタシだって、下の階のお父さんとお母さんのことはまだ悲しい。

　宗（そう）ちゃんの分の米だって今、研いでる。釜を置いたら一杯になってしまうこぢんまりとした流しで、精一杯米を研いでますよ。

「許して……あげたら？」

　別に、怒っているわけじゃない。ただ……。

　玄関のドアが開いた。

　母と宗（そう）ちゃんの後ろにサブローがいて、アタシは嫌な予感がした。

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