20

「ハイドロ・ライト・エージェンシー。HyLAハイラ……いいね!シュウジ君」


「ですよね!」


 あのさ、アンタたち楽しんでるよね!?


「よし、機関名はそれにしよう。さて……」


 卵焼きをほとんど平らげたサブローは、ちゃぶ台にブレスレットを二つ置いた。


 銀とブルー。


 アタシとシュウジの好きな色だ。


「こわい……国の人ってそんなこともわかるんですね……」


 アタシはため息をつきながら、銀のほうを取った。


 アクリルみたいなその腕輪は、手首に嵌めるとちょうど良いサイズに収縮する。

 一か所、丸いボタンが付いているのを押してみると、腕輪は手首から外れてキラキラのA4サイズの紙になった。


 真ん中に、into と書いてある。


「君たち以外の人たちが乗っても転移しないから安心してくれたまえ」


 サブローは食後のカフェオレまで飲み干して、窓の外を見上げた。


「ふー、いい天気だ」


 偽物ニセモノの空は青々と澄み切っていた。


「それからこれ」


 警察の白い上下と、サイコプラズマワルサー。競技用ではない。警察用の、威力が物凄いものだ。テロや、AIdエイドに対抗するもの。

 最新のものだからか、重くはなかった。


「さて、ぼちぼち行こうか。向こうで待ってるよ」


 サブローは青いシートを取り出し、その上で消えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る