【おわりのはじまり】
時は流れて…
8月27日の午後3時過ぎであった。
トメは、今治駅から玉川方面行きのバスに乗ってイオンモール今治新都市へ向かっていた。
この時、バスにはイオンモールへ行く人たちがたくさん乗っていた。
バスがイオンモール今治新都市のバス停に到着した。
トメがサイフを出してウンチンを払おうとした時であった。
トメのサイフの中に入っていたおカネは一万円札22枚だけで、小銭はなかった。
トメは、小銭がないと言うてものすごく困っていた。
後ろで待たされている乗客たちがものすごくイライラした表情で『早くしろよ!!』とつぶやきながら怒っていた。
そこへ、食材の買い出しに来ていた
「おくさま!!」
「
「すみません、このお方はうちの雇い主です…みなさまごめんなさい…」
このあと、
ところ変わって、イオンモール今治新都市のきらめきコートにて…
トメは、
「
「いえいえこちらこそ…それよりも奥さまはどうなさるのですか?」
「えっ?」
「きょうは、お友だちとお会いする予定だと言うてましたね。」
「えっ?おぼえてないって…奥さまはきょうの4時にここでお友だちと合う予定だと言うてましたね!!」
トメは、おぼろげな声でこう言うた。
「えっ?うちはそんなことは言うてなかったよ〜」
この時、
今から11日前のことであった。
トメは、数人の友人たちと一緒にいまこく(今治国際ホテル)の洋食レストランでランチを取るヤクソクをしていたが、日付を間違えて行かなかった。
トメは、友人から8月16日にいまこくへ行く予定だと聞いたが、18日と思い込んでしまった…
トメの思い込みが原因で、友人たちから怒りを買ってしまった…
それ以外にも、トメは自分の思い込みが原因で周囲にメーワクをかけるようになった。
もしかしたら…
奥さまは…
重度の認知症になったのではないのか…
夕方5時過ぎであった。
防災行政無線のスピーカーから、童謡『夕やけ小やけ』のオルゴール音が響いた。
今治駅でバスを降りたあと、駅のコンコースを通って西口へ出たあと北日吉町の第一病院の付近の交差点から浅川にかかる橋を渡って
ところ変わって、
大広間には、かおると健一郎がいた。
しばらくして、
「かおるさま、遅くなってすみませんでした。」
かおるは、やさしい声で
「
「いえいえこちらこそ…今すぐに夕食の用意を始めます。」
(びちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょ…びちょびちょびちょびちょびちょ…びちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょびちょ…)
この時、トメが着ているカーキ色のトレパンの前の部分がびちょびちょに濡れていた。
後ろの部分は、びちょびちょに濡れたと同時に鼻につくにおいが発生した。
ダイニングキッチンにいた
「奥さま!!奥さま!!」
この時、ダイニングテーブルのイスに座っているかおるは、ぼんやりとした表情を浮かべながら考え事をしていた。
「かおるさま!!かおるさま!!」
「奥さまがソソウなされました!!一緒に浴室へ来てください!!」
それなのに、かおるはぼんやりとした表情で『えっ?浴室?』と言うた。
この時、かおるはやっと
この最近、トメはトイレの失敗を繰り返すようになった。
その度に、
トメの容態は、もっとも悪い方へ向かっていたようだ。
そしてその翌日…
この時、医師からトメは要介護度4の認知症であると診断された。
これにより、トメは周囲の介助がなければ生きていけない状態におちいった。
どうしよう…
どうすればいいの…
どうやって奥さまをささえて行けばいいの…
時は、深夜11時40分頃であった。
場所は、松山市堀江町の旧道にて…
深夜の旧道に黒のマツダデミオが走っていた。
車内には、家出…いいえ、家から
ふたりは、60分前まで
このあと、ふたりはさらに遠い場所へ向かった。
日付が変わって、8月29日の深夜1時過ぎであった。
またところ変わって、
あつこは、男と手をつないで河川敷を歩いていた。
そこへ、チャラい男に女を取られた男が友人の男と一緒にふたりに襲いかかった。
チャラい男は、ひとりの男から棒で殴られて倒れた。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!やめて!!」
この時、あつこがもうひとりの男に無理やり倒された。
「やめて!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)
あつこは、着ていた白のブラウスを男に破られた。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
つづいて、あつこはマゼンタのスカートを脱がされた。
衣服を脱がされたあつこは、白のブラジャーとレギュラーショーツ姿で男をはねのけたあと、必死になって逃げ出した。
「おい、待てよ!!」
男は、白のブラジャー・ショーツ姿のあつこを追いかけた。
しかし…
(ガーン!!)
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
あつこを追いかけていた男は、金属バットで頭を殴られて倒れた。
金属バットで男を殴った男は、こともあろうにてつやであった。
倒れた男は、その場で死亡した。
てつやは、もうひとりの男も金属バットで殴りつけた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
金属バットで殴られた男は、その場に倒れたあとてつやから殴るけるの暴行を受けた。
あつこは、その間にあちらこちらを逃げ回った。
(ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ…)
時は、8月30日の午後2時過ぎであった。
またところ変わって、
あたり一帯にツクツクボウシの鳴き声が響いていた。
そこへ、警察署の生活安全課の職員ふたりがカーキ色のコートをはおっているあつこを連れてやって来た。
「あの〜」
「こちら、
「えっ…すぐに呼んでまいります!!」
大広間には、かおるとあつこと経の職員ふたりがいた。
警察署の職員は、かおるに対して『おたくの娘さんですか?』とたずねた。
かおるは『そうです。』と答えた。
このあと、警察署の職員はあつこがはおっているコートを取った。
コートの中から、グチョグチョに汚れた姿があらわになった。
それを見たかおるは、あつこを抱きしめながら震える声で泣いた。
「あつこ…ごめんね…ごめんね…ごめんね…」
しかし、無表情のあつこはひとことも言わなかった。
その間に、健一郎がダイニングキッチンから出刃包丁を取り出した。
健一郎は、出刃包丁をさらしにまいてふところに隠したあと勝手口から出た。
また家の前にて…
この時、健一郎が
「健一郎さん…健一郎さん待って!!」
しかし、健一郎は
健一郎さんやめて!!
健一郎さんやめて!!
だれか…
健一郎さんを止めて!!
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