【平成最後の夏が始まった】

(ミーンミンミンミンミンミーン…ジー)


時は、7月10日頃であった。


この日の午前11時頃、気象庁は西日本全域と東海北陸地方の梅雨明けしたと見られると発表した。


この日の午後の予想最高気温は、35度を超えるところがあると伝えられた。


西日本豪雨こんかいのごううは、広島県・岡山県・愛媛県の3県を中心に死者行方不明者がたくさん出るなどの人的被害や土砂災害や浸水害などの大被害が生じた。


JR予讃線は、今治駅から高松駅の間で各駅停車のみで運行が再開された。


(観音寺ー本山もとやま(三豊市)の間は、財田川の鉄橋が被災したので代替バス輸送で運行となった。)


今治駅から松山よりの区間は、大規模な土砂災害によって運行ができない状態になっていた。


復旧作業は開始されたが、運行再開の時期は未定である。


鉄道などの交通網の不通に加えて、被災した人たちの生活再建の問題などが山積みされていた。


人々の暮らしがもとに戻るまでには、かなりの時間がかかる見込みだ。


時は、7月10日の午後3時頃であった。


ところ変わって、宮下町みやしたちょう豪邸いえの前にて…


豪邸いえのある地区は無事であったが、側溝ドブの水がタプタプになっているなど…かなり危険な状態に置かれていることにかわりはなかった。


話は変わって…


(バシャ、バシャ…)


エプロン姿の志桜里しおりは、家の前で水まきをしていた。


志桜里しおりは、バケツに入っている水をひしゃくですくったあと、泥で汚れているアスファルトにかけた。


6日の豪雨の時に、側溝ドブからあふれ出た水がここに流れたことによってできた汚れであった。


そんな時であった。


近見山ちかみやまで行方不明になっていた健一郎が榎戸夫婦きょうじゅふうふと一緒に帰宅した。


健一郎は、7月9日に近見山ちかみやまの展望台にいたところを地区の消防団のみなさまに発見された。


その後、警察署に保護された。


その後、お迎えに来た榎戸夫婦きょうじゅふうふと一緒に警察署から出てここへ来た。


そんな健一郎を見た志桜里しおりは、怒った声で言うた。


「健一郎さん!!自衛隊に入隊したばかりなのに、なんでお帰りになったのですか!?」


榎戸きょうじゅは、ものすごくつらい声で志桜里しおりに言うた。


「お手伝いさん、家のみなさまを呼んでください〜」


分かったわよ…


志桜里しおりは、ブツブツ言いながらバケツとひしゃくを持って家の中に入った。


ところ変わって、豪邸いえの大広間にて…


大広間のテーブルに、トメとかおると榎戸夫婦きょうじゅふうふと健一郎の5人がいた。


志桜里しおりは、ダイニングキッチンでお茶をいれる作業をしていた。


トメは、怒った声で健一郎に言うた。


「あんたはなさけないわね!!ジエータイから脱走したらどなな厳罰を受けるのかと言うことが全くわかっていないわね!!」


トメにどぎつい声で言われた健一郎は、泣きそうな声で『ゴメイワクをおかけしてすみませんでした…』と言うた。


榎戸きょうじゅは、困った声で健一郎に言うた。


「健一郎くん、なんでジエータイから脱走したのだ…ジエータイでなんぞイヤなことでもあったのか?」


榎戸きょうじゅからの問いに対して、健一郎は泣きそうな声で『分からない…』と言うた。


かおるは、つらい声で言うた。


「もういいわよ…今の健ちゃんは心身ともにヒヘイしているので、おちついて話しができる常態じゃないのよ。」


榎戸夫人おくさまは、つらい声で言うた。


豪雨さいがいの影響で、健一郎くんの気持ちがヒヘイしているみたいね…あの、神谷こうのたにの奥さま…」


榎戸夫人おくさまは、トメに対して心身の療養をするために豪邸ここに居させてくださいとお願いした。


トメは、榎戸夫人おくさまの気持ちをくみ取って健一郎を豪邸ここに滞在することを許した。


ただし、条件として遅くとも9月末までに新しいしごとと住まいを見つける…と提示された。


健一郎は、トメから提示された条件を守ることを前提に豪邸ここに滞在することになった。


9月末までに目標を達成できるかどうかは不透明であった。

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