【周囲の猛反対を押し切ってまでも実現させたいのかよ!!】

時は、6月15日の午後2時過ぎであった。


ところ変わって、今治市宅間しないたくまの溶剤会社にある昭久あきひさの個室にて…


昭久あきひさは、デスクに積まれている書類の右上の捺印欄なついんらん印鑑はんこを押していた。


昭久あきひさ捺印なついんしたのは、会社の経営に関連する案件だけであった。


従業員さんたちの育児休暇いくきゅう出産休暇さんきゅうの申請は、シュレッダーにかけて破棄した。


この最近、昭久あきひさの勤務態度が極悪ものすごくわるくなった。


かおるが健一郎に対して過度に愛情を注ぐようになったことが原因である。


昭久あきひさは、するどい目つきで人をイカクするようになった…


気に入らないことがあれば、昭久あきひさは従業員さんたちに殴るけるの暴力をふるうなど…


会社で暴れるようになった。


どいつもこいつもグダグダグダグダグダグダ言いやがって…


男のくせに育児休暇いくきゅうしますとはなんだ…


ふざけるな!!


この時であった。


昭久あきひさがいる部屋に、吉永じょうむがやって来た。


吉永じょうむは、ものすごくおたついた声で昭久あきひさに言うた。


神谷こうのたにくん!!」

「(怒った声で)なんぞぉ〜」

神谷こうのたにくん!!営業三課の池原いけはらくんの育児休暇いくきゅう申請がおりてないのて困っているのだよ!!」

「はぐいたらしいんだよ!!」


(ガーン!!)


吉永じょうむが言うた言葉を聞いた昭久あきひさは、デスクを右足でけとばしたあとワーッと叫びながら外へ出ていった。


ところ変わって、営業三課の部署にて…


ブチ切れた昭久あきひさは、育児休暇いくきゅうを申請した男性従業員さんに対して殴るけるの暴力を加えた。


「甘ったれるな!!従業員クソバカヤロウ!!男のくせになんじゃあいよんぞ!!」


この時、吉永じょうむが止めに入った。


「コラ!!神谷こうのたに!!」

「離せクソアホンダラ!!」


昭久あきひさは、止めに入った吉永じょうむに対して右足でけとばした。


その後、昭久あきひさはよりし烈な叫び声をあげながら社内で暴れ回った。


さて、その頃であった。


ところ変わって、宮下町みやしたちょう豪邸いえにて…


かおるは、健一郎と菜水なみをあつことてつやが使っていた部屋に案内した。


あつことてつやが使っていた部屋は、きらびやかなスイートルームに変わっていた。


カベは、豪勢なクロスが貼られていた。


部屋には、ニトリで購入したブライダルファニチャー(家具類)が置かれていた。


かおるは、過度にやさしい声で健一郎と菜水なみに言うた。


「健ちゃん、菜水なみさん。」


健一郎は、ものすごくコンワクした声でかおるに言うた。


「おばさま…ここは、あつこちゃんとてつやさんが使っていた部屋ですよ。」


かおるは、ケーソツな声で健一郎に言うた。


「ああ、あつことてつやは家出して行方不明になったから除籍カンドーしたわよ。」

除籍カンドーした!?」

「そうよ…きょうからここが健ちゃんと菜水なみさんのおうちよ。」

「(ものすごくつらい声で言う)おばさま…」

「どうしたの?」

よその家で暮らすのは…」

「いいのよ…おばさんがいいといよるから大丈夫…もとのおうちは…不動産屋に売却うったわよ。」

「なんで不動産屋に売却うったのですか!?」

「健ちゃんが幸せになるためにもとのおうちを売却うったのよ…きれいでしょ…あとね…健ちゃんと菜水なみさんの婚姻届を市役所に提出したわよ。」

「ぼくたちは同意していません…」

「心配しなくても大丈夫よ…健ちゃんのおとーさんとおかーさんが同意したから大丈夫よ。」


かおるは、健一郎と菜水なみに対して過度にやさしい声で言いながらしつように押さえつけた。


その時であった。


志桜里しおりの呼び声が下から聞こえた。


「かおるさま!!お電話がかかっています!!」


かおるは、過度にやさしい声で健一郎と菜水なみに言うた。


「あっ、健ちゃんのおかーさんからみたいね…ちょっと待っててね…」


うきうきモードのかおるは、鼻歌を歌いながら下へ降りた。


かおるは、志桜里しおりから受話器を受け取ったあとルンルン声で話した。


「もしもし代わりました…健ちゃんのおかーさん…えっ?違う?…もしもし…」


この時、かおるの表情が真っ青になった。


電話は、花栄はなえからであった。


花栄はなえは、ものすごく怒った声でかおるに言うた。


神谷こうのたにの奥さま!!雑賀健一郎のあねでございますが…これから奥さまを裁判所に訴えることにしました!!…どこにいるって…主人の知人の知人のそのまた知人の元格闘家さんが運営しているジムです!!…今から元格闘家さんに代わります!!」


このあと、花栄はなえは元格闘家の男に受話器を渡した。


元格闘家のハナヒゲ男は、恐ろしい声でかおるに言うた。


「もしもし、神谷こうのたにかおるさんでございますね…あんた、雑賀さんの娘さんたちなどの同意もなく雑賀さんご夫婦の家を勝手に売却したようですね…あの家は、うちの知人の知人のそのまた知人が経営している不動産屋(やくざが経営している)のテイトウに入っている物件ですよ…奥さま…テイトウ物件を勝手に売ったらどないなるか分かってますか?…これ以上テイトウするようであればおそろしい目に遭いまっせ〜ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」


(ガチャーン!!)


ブチ切れたかおるは、電話をガチャーンと切った。


花栄はなえは、全身をブルブルと震わせながら怒り狂った。


かおるは、取り返しのつかない大罪を犯した…


健一郎が暮らしていたもとの家がテイトウ物件に入っていた…


それを知らずに売却した…


…と言うことは、いずれそのうちにおそろしい目に遭うと言うことである。


しかし、かおるは怖いもの知らずだからへーぜんとしていた。


どないなっても知らんぞ…

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