【こんな時だけ親ヅラするな!!】

6月9日の朝7時55分頃であった。


ところ変わって、今治新都市クリエイティブヒルズにある製造工場にて…


構内にある広場で、全従業員さんたちによる朝礼が行われていた。


朝8時に朝礼が終了した。


全従業員さんたちは、それぞれの持ち場へ向かった。


健一郎も、従業員さんたちと一緒に倉庫へ向かった。


そんな中であったが、健一郎と一緒に倉庫で働いていた12人の従業員さんたちが倉庫へ行かずに従業員専用の駐車場へ向かった。


それから数分後に、12台の乗用車が敷地から出発した。


12台の乗用車は、国道317号線を通って松山方面へ向かった。


ところ変わって、JR松山駅のすぐ近くにあるキスケのビルにて…


勝手に職場から出た12人の従業員さんたちは、ビルの3階にあるキスケジャオ(マージャン店)にやって来た。


12人は、到着したあとかけマージャンを始めた。


この最近、健一郎が勤務している製造工場の従業員さんたちの間でより強い不満がくすぶっていた。


健一郎と菜水なみの挙式披露宴の日取りが決まったことが元凶であった。


どんなにがんばってもお給料が上がらない…


じっと動かずにガマンして自然な形で結婚相手と出会う機会を待っていたのに、出会えない…


もっと大きな不満は、職場が愛媛県の結婚支援センターと愛結び(お見合い事業)に登録したと言うたが、上の人間が放置していた…と言うことであった。


そうしたことが原因で、従業員さんたちは会社に対してより強い怒りを持つようになった。


この日は、さらに20人の従業員さんたちが会社に対する不満を理由に勝手に欠勤した。


その上に、午前9時頃に3人の従業員さんたちが勝手にはやびけした。


麺小町(ラーメン屋)で昼間からビールをのんでいた15人の従業員さんたちをあわせて、合計50人が無断で欠勤した。


50人の従業員さんたちは、ストライキを起こして結婚相手と出会う機会を作ってほしいと求めていた。


しかし、会社側は回答しなかった…


50人の従業員さんたちは、会社側が求めに応じるまでは徹底抗戦をかまえると言うた。


同時に、彼らは健一郎に対して菜水なみと結婚することをやめることも要求した。


これにより、健一郎は職場で肩身のせまい想いを強いられることになった。


さて、その頃であった。


ところ変わって、今治市宮下町しないみやしたちょう豪邸いえにて…


家の大広間のテーブルには、かおると健一郎の兄嫁だと言う40前の女がいた。


ダイニングキッチンには、かわいいエプロン姿の菜水なみがいた。


菜水なみは、健一郎のお昼ごはんを作る準備をしていた。


この時、志桜里しおりは、庭の掃除をしていた。


健一郎の兄嫁だと言う40前の女は、健一郎の次兄ふたりめのあに(46歳・法務局エリート〜もとは陸上自衛隊の隊員だった)の妻・雑賀花栄さいかはなえ(39歳・専業主婦)であった。


花栄はなえは、ものすごくあつかましい声でかおるに言うた。


「奥さま!!お願いですからゴハイリョ願います!!うちは、義弟おとうとがお嫁さんをもらうことがものすごく気に入らないのよ!!」


花栄はなえがものすごく怒った声で健一郎と菜水なみが結婚することに対する不満をぶち曲げたので、かおるはひどくコンワクした声で言うた。


「奥さま、それはどう言うことでしょうか?うちらは、きちんとハイリョしていますよ。」


花栄はなえは、かおるに対してよりし烈な怒りを込めて言うた。


「うちが『ゴハイリョ願います!!』といよる意味が分からないのですか!?」

「奥さま…あの、一体なにがあったのですか?…おちついてお話をすることは…」

「できるわけないわよ!!義弟おとうとがお見合いで出会った女性と結婚することが原因で、うちは不幸になったのよ!!」

「不幸になったって…」

義弟おとうとのお見合い相手のせいで、主人は法務省ちゅうおうが最高裁判所の裁判長に任命を見送ったのよ!!」

「(かおる、コンワクした声で)えっ?本当なの?」

「(花栄、ものすごく怒った声で)ほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうに本当のことよ!!」

「奥さま、落ちついてよ~」

「キーッ!!なんなのよ一体もう!!」

「だから、健ちゃんと菜水なみさんが結婚することとご主人の人事異動とどんな関係があるのよ~」


かおるの問いに対して、花栄はなえは、ドカーンと爆発した。


ドカーンと爆発した花栄はなえは、わけのわからない言葉をぐちゃぐちゃに言いまくった。


「うちは義弟おとうとのお見合い相手にブジョクされたのよ!!」

「ちょっと待ってよ〜…菜水なみさんは奥さまをブジョクしてないわよ〜」

「(花栄、叫び声をあげる)いいや!!ブジョクした!!」


花栄はなえは、叫び声をあげながらあることないことをぐちゃぐちゃに言いまくった。


義弟おとうとのお見合い相手のせいで、長女(6歳)が名門校の受験で不合格になったのよ!!長男(3歳)も名門幼稚園の受験で不合格になったのよ!!どうしてくれるのよ!!…うちのおにい(42歳)の長男(高1くらい)も県立こうりつに不合格になったのよ!!不合格になったあとニジボシュウで与太校ぼろいがっこうに行ったけど、入学式の翌日に退学やめたのよ!!…その挙げ句に家出して、東海道新幹線しんかんせんのなか殺傷事件とおりまじけんを起こして神奈川県警に逮捕されたのよ!!…その翌日からうちの実家で不幸ごとが続いたのよ!!どうしてくれるのよ!!」

「奥さま、おちついてよ!!」

「やかましい!!あんたが義弟おとうと菜水ぼろおんなと引き合わせたからうちは不幸になったのよ!!ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャー!!」


ブチ切れた花栄はなえは、ギャーギャー叫びながらダイニングキッチンにいる菜水なみに向けて物を投げつけた。


「奥さまやめて!!」

「やかましい!!菜水ぼろおんなのせいでうちは不幸になったのよ!!ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャー!!」


かおるは、必死になって花栄はなえを止めた。


しかし、花栄はなえはサクラン状態におちいっていたので、かおるはどうすることもできなかった。


結局、この日のランチは中止となった。


時は、夕方4時頃であった。


志桜里しおりが家の前でほうきを使って掃除をしていた時に、あつこがふらりと戻ってきた。


あつこの顔は、赤むらさき色の傷でブクブクに腫れていた。


髪の毛はぐちゃぐちゃに乱れて、目は真っ赤に染まっていた。


服装もぐちゃぐちゃに乱れていた。


あつこは、家出中にドーセーしていた男ともめた末に部屋から逃げ出した…と思う。


変わり果てたあつこの姿を見た志桜里しおりは、おどろいた声で言うた。


「あつこさん!!どうしたのですか!?」


あつこは、めんどくさい声で志桜里しおりに言うた。


「うるさいわね…残っている着替えとメイクを取りに戻ってきたのよ…入れさせてよ!!」

「あつこさん!!一体なにがあったのですか!?…奥さまとご主人とお嫁さんが家にいるので、呼びます…」


この時、家の中にはトメと昭久あきひさとかおるの3人がいた。


志桜里しおりは、家の中にいるトメと昭久あきひさとかおるにあつこが戻ってきたことを伝えに行こうとしたが、あつこがものすごく怒った声で『やめて!!』と言うて止めた。


「なんで止めるのですか!?」

「いらんことしないでよ!!」

「うちは、家族のみなさまと話し合いをしてほしいから…」

「イヤ!!話し合いなんかしたくない!!」

「なんで拒否するのですか!?」

「おとーさんとおかーさんは『ガッコーへ行け!!』と言うだけだから話しにならないわよ!!」

「お願いですから話し合いをしてください!!」

「イヤと言うたらイヤ!!残っている着替えとメイクを取り出したいから行かせてよ!!」

「その前に話し合いをしてください!!」


話し合いをして…


イヤ!!拒否する!!


志桜里しおりとあつこは、よりし烈な声でおしあいへしあいをした。


それから数分後であった。


ところ変わって、家の大広間にて…


大広間のテーブルには、トメと昭久あきひさとかおるとあつこの4人が座っていた。


トメは、ものすごくあつかましい声で昭久あきひさとかおるをボロクソになじった。


「あんたらふたりは、親失格よ!!あんたらが雑賀よそのいえ健一郎クソッタレアホンダラセガレばかりに対して過度に愛情を注いだことが原因であつこが暴力の被害を受けたのよ!!だーっとらんとなんか言うたらどうよ!!」


トメからボロクソになじられた昭久あきひさとかおるは、なにも言うことができなかった。


トメは、ものすごく怒った声で昭久あきひさとかおるに言うた。


「この際だから言わしてもらうけど、あつことてつやが私立高校メートクにいつづけたらふたりとも壊れてしまうわよ!!」


昭久あきひさは、ものすごくつらい声でトメに言うた。


「それじゃあ、どうすればいいんだよ〜…」


かおるも、つらい声でトメに言うた。


「あつことてつやを受け入れてくださる高校ガッコーは、他にないのよ~」


トメは、ものすごくあつかましい声でかおるに言うた。


「他に受け入れ可能な高校ガッコーがないから私立高校メートクに行けと言うのね!!せやからあんたらはしょぼいのよ!!」

「かあさんはしょぼいと言うけど…ワシとかおるにとっては夢なんだよ〜制服姿のあつことてつやが希望に満ちあふれた表情で…」

「ものすごくはぐいたらしいわね!!その話は聞きあきたわよ!!希望に満ちあふれた表情と言う意味がぜんぜん分からへん!!」

「(かおる、つらい声で言う)だから、あつことてつやがガッコーのお友だちと楽しく過ごしている姿を見ることがたったひとつの楽しみなのよ!!」

「はぐいたらしい嫁ね!!あんたらがあつことてつやに対して過度に強要ようきゅうしたことが原因で私立高校メートクに行かなくなった…その結果、てつやは退学ついほうされた…あつこは退学ついほうに相当すると言う処分がきのう出たのよ!!…ふたりともヘラみずにうちの話を聞いてよ!!」


トメからどぎつい声で怒鳴られたかおるは、テーブルに顔をふせてぐすんぐすんと泣き出した。


昭久あきひさは、居直った声でトメに言うた。


「なんでかおるに対してボロクソに言うんだよ…ふざけるな!!」

「なにいよんであんたは!!」

「あつことてつやが希望に満ちあふれた表情で高校ガッコーに通っている姿を見ることが楽しみでありはげみだった!!…それをふたりがぶち壊した!!…あつことてつやが高校ガッコーへ通う姿がもう一度見たい!!あつこがブラスバンド部でクラリネットをふいている姿が見たい!!」


昭久あきひさから強要されたあつこは、思い切りブチ切れたあとワーッとなって部屋へ駆け込んだ。


そして…


(ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカガシャーン!!)


2階からクラリネットが入っているケースが落下した。


中に入っていたクラリネットが粉々に砕けた。


それを聞いた志桜里しおりは、大急ぎで2階へ向かおうとしたがトメに止められた。


志桜里しおりさん!!」

「奥さま!!」

「ほっときなさい!!」

「しかし…」

「あつこは、この家から出ていくのだからほっときなさい!!」

「そんなわけには行きません!!」

「いらないことをしないで!!」


(ガシャーン!!ガシャーン!!)


2階からガラスが割れる音が響いた。


あつこは、部屋の中で思い切り暴れたあと残っている着替えとメイク道具を全部取り出す作業を始めた。


それから30分後であった。


あつこは、ピンク色のサックスバーの大型のスーツケースとハンドバッグを持って家から出ていった。


「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…」


昭久あきひさは、泣きながらクラリネットが入っているケースをあけた。


ケースの中に入っていたクラリネットは、粉々にくだけてしまった。


「うううううううううううううううううううううううううう…あつこ…もう一度クラリネットをふいてくれ〜…うううううううううううううううううううううううう…」


昭久あきひさは、くだけてしまったクラリネットを見ながらメソメソ泣きまくった。


トメは、きつい目つきで昭久あきひさをにらみながら『なさけないわね〜』とつぶやいた。


あつこは、この日を境に家に帰らなくなった。


同じく家出中のてつやも、行方不明になった。


再び家出したあつこは、新しくできた男と一緒になったあと行方不明になった。


健一郎に対して過度に愛情を注ぎまくった結果、かおると昭久あきひさは自分の子どもたちにきらわれたと言うことがまだわかっていないと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る