【甘やかされた末に…】
時は、6月4日の午前11時頃であった。
ところ変わって、北日吉町にある
家の16
この日、かおるは
あつこは14年間…
てつやは13年間…
…に渡って
10年以上も
…………………
また、あつことてつやが
裁判は、7月2日から予定通りに行われることが決まった。
裁判が終わる時期は、未定である。
また、
話は変わって…
かおるは、
かおるの話をひと通り聞いた
「お話はよく分かりました…それで、あつこさんとてつやさんは今後どうなされるおつもりでしょうか?」
かおるは、泣きながら
「主人は…あつことてつやが
困ったなぁ…
どうすればいいのか…
「お話はよく分かりましたが、わたくしどもの意見は、あつこさんとてつやさんに
「そうは言うけど…無理です。」
「将来のために取っていた貯蓄はまた作り直せばいいですよ…
「
かおるは、やっきになって『残された時間はない!!』と
「おかあさま、おちついて…」
「おちついてられないわよ!!」
「おかあさまのあせるお気持ちはよく分かりますけど、あつこさんとてつやさんはまだ未熟だから社会のことがよく分からないのよ…未熟な状態で社会へ出たら大失敗するかもしれないのよ。」
「だからどうしたいのですか!?」
「だから
「それは無理です!!」
「(困った声で)それじゃあどうしたいのよ…高校中退の状態で社会に出たら、あつこさんとてつやさんが不利になるのよ…それでもいいの?」
「私たち夫婦も一緒に呼び出しに行きますよ…おかあさまがうまく伝えることができないのであれば、私たち夫婦がかおるさんに代わって説明しますよ。」
「大丈夫よ…わたしたちがついてるから…おかあさまは心配しなくてもいいのよ…」
時は午後2時頃であった。
またところ変わって、北日吉町にある
本校の会議室に、かおると
会議室では、査問委員会がひらかれていた。
委員は、かおるからあつことてつやの今の状態を聞いた上で今後の処遇を決める方針である。
ひと通り話し終えた
「わたくしども夫婦は、あつこさんとてつやさんに(全日制の)高校に行ってほしいのです…わたくしども夫婦は…あつこさんとてつやさんが制服を着て、希望に満ちあふれた表情で高校に通っている姿が見たいのです…朝の通学路で、制服を着た子たちが…『あつこちゃんおはよう』…『てつやくんおはよう』…とやさしく声をかけてくれる…あつこさんとてつやさんが
委員のひとりがめんどくさい声で『聞いてるよ…』と言うたあと、
「まだ終わりではありません!!
「高校中退の学歴で社会に出たらあつこさんとてつやさんが不利になります!!…就職はもちろんのこと、資格取得試験が制限される分がある…結婚…結婚も大きく不利になるのです!!…不利になったら困るので、あつこさんとてつやさんをもう一度ここで受け入れてください!!」
「そうは言うけど、うちとしては困るのだよ!!」
「高校に行きたいのであれば、
「男子の自衛隊入隊資格が32歳までに延長されたことを知らないのかなァ〜自衛隊の中にも通信制高校があるのだよ。」
「お金が貯まる、通信制高校に通える、仕事に必要な資格が取れる…除隊後のことはゼーンブ自衛隊がしてくださるのだよ。」
委員たちがクドクドクドクドクドクドクドクドと言いまくっていたのを聞いた
その後、委員たちにこう言うた。
「あんたらの言うことはむしがよすぎる…あんたらの言うことは大ウソだ…高校と言うたら全日制に限る!!…働きながら学ぶと言う意味が分からない…全日制高校が高校の本来の姿だと言うのが分からないのか!!…あつこさんとてつやさんをここに通わせろ!!…あつこさんとてつやさんにもう一度チャンスを与えろ!!…与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ与えろ…与えろといよんのが聞こえないのかクソバカ野郎!!…以上です…」
このあと、委員長を務める白髪のじいさんがかおるに言うた。
「おかあさま、言いたいことはございますか?」
かおるは『ございません。』と答えた。
これで、査問委員会は終了した。
あつことてつやの処遇については『そのうちに伝える』と言うことであった。
処遇が決まったら伝えると言うのはタテマエで、
しかし、かおると
そうした思い込みが原因で、かおると
時は、夜7時過ぎであった。
またところ変わって、
食卓には、かおると健一郎と
テーブルの上には、はま寿司(回転寿司屋)で購入したにぎり寿司のパーティセットが並んでいた。
かおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。
「健ちゃん、ごはん食べようか。」
健一郎は、ものすごくつらい表情で言うた。
「あの〜…ぼく…家で食べます…」
「えっ?どうして?」
「だから、おかーさんが家で晩ごはんを作って待っているのですよ。」
困ったわね…
かおるは、ものすごく困った表情でつぶやいた。
そんな時であった。
(ジリリリリリリリリリリリン!!ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリン!!)
大広間に置かれているダイヤル式の黒電話のベルが鳴り響いた。
かおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。
「健ちゃんのおかーさんから電話がかかってきたわよ…」
「えっ?」
「大丈夫よ…ちょっと待っててね。」
かおるは、受話器を手にしたあとお話をした。
「はい…
電話は、おとなりの家の奥さまからであった。
おとなりの家の奥さまは、
かおるは、やる気のない声で言うた。
「
受話器のスピーカーから、通りに流れているわけのわからないアーティストの歌と客引きのニイチャンの声が聞こえた。
かおるは、ひどく不安な表情でつぶやいた。
ところ変わって、共栄町のナイトクラブが立ち並んでいる通りにて…
おとなりの家の奥さまは、その付近にあるたばこ屋にいた。
おとなりの家の奥さまは、たばこ屋のカウンターに置かれている赤色の10円電話から電話をかけていた。
電話の横には、10円玉が大量に積まれていた。
おとなりの家の奥さまは、ものすごく変な声で受話器ごしにいるかおるに言うた。
「もしもし…
おとなりの家の奥さまは、10円玉を投入口に入れながら変な声で受話器ごしにいるかおるに言うた。
「ちょいとおくさま…おくさまに聞くけど…
かおるは、受話器ごしにいるおとなりの家の奥さまにこう言うた。
「ああ、健ちゃんのおかあさまは…ああ、急患が入ったから一晩帰れませんっていよったけど…」
おとなりの家の奥さまは、受話器ごしにいるかおるに変な声で言うた。
「急患が入ったから帰れなくなったァ〜…県病院に電話して聞いたけど、そのような事象は発生していませんといよったよ…」
おとなりの家の奥さまは、スマホを使って隠し撮りをした。
(カシャ、カシャ、カシャ、カシャ…)
スマホで隠し撮りをした奥さまは、グーグルフォトのアプリをひらいたあと先ほど撮影した写真を見ながらかおるに言うた。
「おくさま…さっきね、
それを聞いたかおるは、顔が真っ青になった。
「
おとなりの家の奥さまは、ものすごくナマイキな声でかおるに言うた。
「ひきょうは
(チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…)
おとなりの家の奥さまは、投入口に追加の10円玉を入れながらかおるに言うた。
「あとね、遠方の方でも
かおるは、悲痛な声で『やめてください!!』と言うたあとおとなりの家の奥さまに言うた。
「奥さま!!健ちゃんは5月にお見合いをしてお嫁さんをもらうことが決まったばかりなのよ!!これから幸せになろうとしているのよ!!」
奥さまは、受話器ごしにいるかおるにものすごくナマイキな声で言うた。
「フン、なにが『健ちゃんは幸せになろうとしているのよ…』かしら…奥さま、一度ご自分の顔を鏡に写してじっくりと見たらどうかしら〜…あんたもいかんところがあることに気がついてよね…自分のお子さまよりも
おとなりの家の奥さまは、スマホの画面を見ながらかおるに言うた。
「
(チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…)
おとなりの家の奥さまは、投入口に追加の10円玉を入れながらかおるに言うた。
「それともう一つ話があるわよ…週刊実話(週刊誌)の最新号だったかしら…そこにとんでもない記事が書かれてあったわよ…そうよ…ヤクザに関連する記事よ…たしか…ヤクザの組長の横にほほえみを浮かべている男性が一緒にいたわよ…顔は…
(ガチャーン!!)
おとなりの家の奥さまは、受話器ごしにいるかおるに対してよりし烈な
おとなりの家の奥さまから
その上に、
…がオモテザタになってしまった。
どうしよう…
どうしたらいいの…
どうやって健ちゃんを守ればいいのか…
どうしたらいいの…
過度に健一郎を甘やかしたかおるは、手痛いしっぺ返しを受けた…
同時にトメと
これにより、健一郎と
本当の悲劇は、ここより始まる。
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