【急激に冷え込んだ昭久とかおるの夫婦仲】

時は、5月28日の朝8時過ぎであった。


この日は曇りだが、雲のすきまからがさしていた。


場所は、豪邸いえの桐だんすが置かれている16たたみの和室にて…


昭久あきひさが桐だんすの中からJAバンクの通帳とインカンを取り出していたのをかおるが見たので、もめごとが発生した。


昭久あきひさが取り出した預金口座は、家のために必要な貯蓄である。


…にもかかわらず、昭久あきひさが勝手に取り出した。


かおるは、ものすごく怒った声で昭久あきひさに言うた。


「あなた!!」

「なんぞぉ〜」

「それは家のために使う費用に取っている預金通帳よ!!」

「分かってるよぅ〜」

「分かっているのだったら勝手に持ち出さないでよ!!」

「(ものすごくやる気のない声で)分かってるよぅ〜…だけど、吉永じょうむが『少しだけユウヅウしてくれぇ〜』と言うてワシに頼んで来たのだよ~」


かおるは、ものすごく怒った声で昭久あきひさに言うた。


「あなたは家族よりも会社の人の方が大事なのね!!」

「(ものすごくやる気のない声で)家族も大事だよぅ〜…だけど、吉永じょうむはワシを頼っているんだよ~」

「だからあんたはダメティシュなのよ!!」

「ワシのどこがダメなんだよ〜」

「ダメティシュだからダメと言うたのよ!!それじゃあ、あつことてつやの人生設計はどうなるのよ!!」

「(ものすごくやる気のない声で)あつことてつやは、まだ高校生だよ…高校生のうちはガッコーを楽しんだ方が…」

「だからあんたはだめな父親なのよ!!」


かおるからボロクソに言われた昭久あきひさは、ものすごくいじけた声で言うた。


「なんだよぅ…この家の人間どもはよってたかってワシをいじめるのか…」


するとかおるは、亡くなった昭久あきひさの父親の悪口をボロクソに言うた。


「あんたのいじけた性格は、亡くなった義父おとうさまにそっくりね…あんたは会社で重役を務めているといよるけど、書類に印鑑ハンコつくしかできん無能者やくたたずねぇ~…義父おとうさまはアフターファイブに仲間を連れてのみに行くときは一生懸命なのに、会社では上の人に口答えばかりしていた…義兄おにいたちも義兄おにいたちでクソバカよね!!」

「なんだよぅ〜ワシのオヤジとおにいたちの悪口をボロクソに言うのかよ~」

「ええその通りよ!!…話し変わるけど、さっき私立高校メートクから電話があって、きょうの午後3時半頃に話し合いをするから来てくださいといよったよ!!」

「話し合いってなんだよぅ〜」

「あつこは14年、てつやは13年に渡って高校ガッコーに行ってないのよ!!先生方は、いつになったらあつことてつやはフクガクするのですかと心配しているのよ!!…あなた!!ヘラみないでうちの話を聞いてよ!!」

「聞いてよ~」


かおるは、ものすごく怒った声で昭久あきひさに言うた。


「あんたの楽しみは、他にはないの!?」

「なにを言うてるんだよぅ〜」

「制服姿のあつことてつやが希望に満ちあふれた表情で高校ガッコーへ通っている姿を見ることがたったひとつの楽しみといよるけど、うちはあんたが繰り返していよるその言葉はききあきたわよ!!」

「おい、それはいくらなんでもあんまりだよぅ〜」

「あんたは、あつことてつやになにを求めているのよ!?」

「ワシは、あつことてつやが高校ガッコーのお友だちと楽しい時間を過ごしてほしいんだよ~」

「だからあんたはつまらんのよ!!」

「ワシのどこがつまらんのぞ〜」

「つまらんけんつまらんといよんよ!!しょぼくれクソッタレティシュ!!安月給!!つまらんことをグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダグダと言わずにもっと稼ぎなさいよバカティシュ!!…うちはパートに行くから…今夜は、イオンモールの従業員さんたちとのシンボク会があるから…帰りは深夜になるわよ…」

「それじゃあ、呼び出しはどうするんだよ〜」

「あんたが行きなさいよ!!」


かおるは、昭久あきひさにアカンべーをしたあと家から出た。


アカンべーされた昭久あきひさは、ものすごくいじけた表情で『ひどい…あんまりだ…』とつぶやいた。


それからまた1時間後であった。


ところ変わって、家の前にて…


トメは、竹ぼうきを使って家の前をそうじしていた。


志桜里しおりは、おふろの清掃作業に取り組んでいた。


トメが家の前ではきそうじをしていた時であった。


おとなりの家の奥さまが、トメに声をかけた。


「おくさま。」

「あら、波佐見はさみさんちの奥さま。」

「お手伝いさんは?」

風呂掃除ふろそうじをしているわよ。」

「そう…」


おとなりの家の奥さまは、トメに対して厳しい口調で言うた。


「おくさま、話し変わるけど…おとついの夜、おたくでボードーが発生したみたいね!!おとついの夜にわけの分からんこと言うて暴れた男はどこの家の子息クソバカセガレよ!?」

「えろうすんまへんでした…わけの分からんこと言うて暴れた男は、雑賀さいかの家のチョーナンです…」

「おとついのボードーが原因で、8けんの家からクレームが出たのよ!!クレーム処理をした町会長のうちの身にもなってよ!!」

「えろうすんまへんでした…」

雑賀さいかのご夫婦はなに考えとんかしらね!!ご夫婦がムカンシンだからチョーナンがダメになったのよ!!チョーナンは、職場でもああ言う態度よね…職場で気に入らんことがあったら部下に対してパワハラセクハラをしよると聞いたからますますダメね…雑賀さいかのご主人のテテオヤがバカだからチョーナンがクソバカになったのよ…えらいのはヒトツバシ卒だけよ…あとはゼーンブダメのバカセガレよ!!」


おとなりの家の奥さまは、雄一郎ゆういちろう隆三りゅうぞう八重やえの悪口をボロクソに言いまくったあと『あ〜、さっぱりしたわ〜』と言うた。


そこへ、右ななめ向かいの家の奥さまが回覧板を持ってトメととなりの家の奥さまのもとにやって来た。


右ななめ向かいの家の奥さまは、おとなりの家の奥さまに声をかけた。


波佐見はさみの奥さま。」

「あら、島内の奥さま。」

「回覧板を持って来たわよ。」

「ありがとう。」


おとなりの家の奥さまは、右ななめ向かいの家の奥さまから回覧板を受け取ったあと、今朝のテレビのニュースのことを話した。


波佐見はさみの奥さま。」

「なあに?」

「今朝のめざまし(テレビ〜フジテレビ系)でいよったけど、大西駅のすぐ近くにある公園の(レンタルのニッケンの)トイレの中で女男アベック全裸はだかで抱き合った状態で復上死しんでいた…と言うニュースで、新しい情報が入ったみたいよ。」

「新しい情報が入ったって?」

「死んだ女男アベックの身元が判明したのよ…紺原こんばらのイナガキさんちの息子さんから聞いた話だけど、死んだ女男アベックは、テレクラで知り合った人妻と(JA)おちいまの男性職員しょくいんだったみたいよ。」

「テレクラで知り合った人妻とおちいまの男性職員しょくいんって、本当なの?」

「本当に本当よ。」

「あのふたりになにがあったのかしらね〜」


おとなりの家の奥さまと右ななめ向かいの家の奥さまは、トメがいる前でペラペラとしゃべりまくった。

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