【はぐいたらしいお見合い】

時は、5月26日のことであった。


この日の午前11時頃、気象庁が四国地方の梅雨入りを発表した。


午後以降の予報は、曇り夜のはじめ頃に雨で降水確率は夕方以降90パーセントであった。


時は、午前11時59分頃であった。


ところ変わって、今治新都市クリエイティブヒルズにある製造工場にて…


健一郎たち作業員は、構内の倉庫で出荷する荷物にごつめのラップで荷物を固定する作業などに取り組んでいた。


(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)


構内に正午ひるやすみを告げるサイレンが鳴り響いた。


従業員さんたちは、お弁当が入っているキャリーが置かれている休憩室へ向かった。


健一郎も従業員さんたちと一緒に休憩室へ行こうとしていたが、上の人に止められた。


「健一郎さん!!」

「主任〜」

「健一郎さん、どこへ行くのかな!?」

「どこへ行くって、休憩室ですよ~」

「健一郎さんが食べるお弁当は、休憩室にはないんだよ!!」

「困りますよ!!なんでぼくだけお弁当がないのですか!?」

「健一郎さんのお弁当は8日から注文しませんと決まったんだよ!!」

「ぼくが食べるお弁当はどこにあるのですか!?」

「健一郎さんが食べるお弁当は、別の場所にあるといよるじゃないか!!はよ行くぞ!!」


健一郎は、怒った表情で上の人をにらみつけながらつぶやいた。


ふざけんなよ主任クソッタレ!!


またところ変わって、宮下町みやしたちょうにある豪邸いえの大広間にて…


家の大広間には、かおると榎戸夫婦きょうじゅふうふと健一郎と健一郎の両親・雑賀隆三さいかりゅうぞう八重やえの夫婦と健一郎の職場の上司の7人が座っていた。


志桜里しおりは、ダイニングキッチンでスタバで購入したニューヨークチーズケーキをお皿にていねいに盛り付けていた。


健一郎は、ものすごく困った表情で上の人に言うた。


「主任!!」

「なんぞぉ~」

「ぼくが弁当はどこにあるのですか!?」

「待って〜な、そのうち到着するから…」

「いいかげんにしてくださいよ!!」


ブチ切れた健一郎は、上の人を怒鳴りつけた。


上の人は、ひどくおびえまくった。


この時、かおるが過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「健ちゃん、健ちゃんが食べるお弁当はもうすぐ到着するわよ。」


健一郎は、かおるにこう言うた。


「主任が8日からお弁当の注文をやめた理由が分からないんだよ~」


かおるは、健一郎に対して過度にやさしい声で言うた。


「主任さんは、健ちゃんが幸せになってほしいからお弁当の注文を止めたのよ。」

「幸せになってほしいからお弁当の注文を止めたって…」


八重やえは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「健ちゃん、きょうは健ちゃんにいいオハナシがあるのよ。」

「いいオハナシって、なんだよぅ〜」

「健ちゃんはきょうまでずっとガマンしていたからみなさまは『もういいよ…』といよんよ。」

「意味が分からないよ~」

「だから、健ちゃんにすてきなプレゼントを贈りたいからお席をもうけたのよ…ねえおとーさん。」


隆三は、おだやかな表情で『ああ。』と言うた。


健一郎は、困った声で『すてきなプレゼントって、なんだよぅ〜』と言うた。


榎戸夫人おくさまは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「健一郎に贈るすてきなプレゼントは、もうすぐ届くよ。」


健一郎は、ますますコンワクした声で言うた。


「すてきなプレゼントの前にお弁当が食べたい…」


かおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「健ちゃん、お弁当はあとで食べてもいいのよ。」


12時半頃であった。


(ピンポーン〜)


玄関の呼鈴ベルが鳴ったので、志桜里しおりが応対に出た。


それから2分後であった。


28歳くらいの女性が志桜里しおりに案内されて大広間に入った。


女性は、(JA)おちいまの本所の女子職員しょくいん梶谷菜水かじたになみであった。


かおるは、過度にやさしい声で健一郎に菜水なみを紹介した。


「健ちゃん、紹介するわよ…(JA)おちいまの本所で働いている梶谷菜水かじたになみさんよ。」


菜水なみは、ものすごくつらい表情でおじぎをした。


健一郎は、ものすごくつらい表情でかおるに言うた。


「おばさま。」

「健ちゃんどうしたの?」

「すてきなプレゼントよりも、お弁当が食べたい…」


榎戸きょうじゅは、あつかましい声で健一郎に言うた。


「なにいよんぞ…ワシらはお前が喜ぶ顔が見たいからすてきなプレゼントを用意したのに、なんぞオドレは!!」


榎戸きょうじゅのそばにいた夫人おくさまは、オタオタした声で『あなた…』と言うてから健一郎に言うた。


「健一郎さんごめんね…」


八重やえは、過度にやさしい声で隆三りゅうぞうに言うた。


「あなた、かわいいおじょうさまねえ…ひと目で気に入ったワ。」


隆三りゅうぞうは、過度にやさしい声で八重やえに言うた。


「ああ、健一郎のお嫁さんにふさわしいかわいいコだね。」


隆三りゅうぞう八重やえは、ひと目で菜水なみを気にいった。


このあと、お見合いが始まった。


それから10分後であった。


外出中だった竜史たつしが帰宅した。


この時、大広間で健一郎と菜水なみがお見合いをしている様子を見た。


健一郎と菜水なみがお見合いをしている様子を見た竜史たつしは、女々しい声で『チクショー』と言いながらズボンのポケットからハートマーケット(テレクラ)のプリペイドカードとスマホを取り出した。


竜史たつしは、ラインの通話アプリを使ってハートマーケット(テレクラ)へ電話をかけた。


時は、夕方5時前であった。


ところ変わって、JR大西駅のすぐ近くにある公園にて…


この時、空はどす黒い雲におおわれていた。


(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…)


遠くて雷が鳴っていた。


同時に、冷たい風が吹いていた。


公園の中にあるトンネルの遊具の中に竜史たつしとハートマーケット(テレクラ)で知り合った人妻・きょうこ(32歳)が隠れていた。


竜史たつしは、きょうこに対してつらいことを話したあと身体からだを求めた。


きょうこは、なにも言わずに竜史たつしの求めに応じた。


ふたりは、抱き合った状態でより激しいキスを交わしていた。


「ん、ん、ん、ん、ん…」

「ん、ん、ん、ん、ん…」


約12分に渡って舌をからめたふたりは、口の中から舌を出した。


舌と舌の間は、細い糸のようなものでつながっていた。


ふたりは、甘い声で呼びあった。


竜史たつし。」

「きょうこ。」

竜史たつし…好きよ…好きよ…愛してる…」

「オレも…きょうこのことが好きだよ…愛してる…ダンナとリコンしてくれぇ〜」


竜史たつしは、きょうこのMカップの極爆乳おおきすぎるおっぱいに抱きついた。


「ああ…竜史たつし!!」


きょうこは、Mカップの極爆乳おおきすぎるおっぱいに抱きついた竜史たつしを両手でギュッと抱きしめながら声をかけた。


竜史たつし…好きよ…好きよ…好きよ…愛してる…愛してる…きょうこ…きょうこ…」


(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!ドザー!!ドザー!!)


時は、夕方6時55分頃であった。


この時、1時間に50ミリに相当する雷を伴った非常に激しい雨が降り出した。


ふたりがいる公園の土が水浸しになりだした。


この時、ふたりは公園の中にある(レンタルのニッケンの)トイレに入っていた。


竜史たつしときょうこは、全裸はだかになって激しく求めあった。


「ああ、竜史たつし〜」

「ああ、きょうこ~」


ふたりが激しく求め合う声は、時間とともに大きくなった。


同時に、雨音がさらに激しくなった。


それから2時間後であった。


またところ変わって、宮下町みやしたちょうにある豪邸いえの大広間にて…


家の大広間のテーブルに、かおると健一郎と隆三八重夫婦りゅうぞうとやえ山方町やまかたちょうで暮らしている健一郎の兄夫婦・雑賀雄一郎さいかゆういちろう(49歳・銀行員エリート房江ふさえ(52歳・専業主婦)が座っていた。


雄一郎房江ゆういちろうふさえ夫婦と一緒に来ていた子どもふたり(中2の長女と8歳の長男)は、トメがいる部屋でテレビを見せてもらっていた。


トメと昭久あきひさとあつことてつやは、家にいなかった。


志桜里しおりは、ダイニングキッチンでお茶をいれていた。


雄一郎ゆういちろう房江ふさえは、隆三りゅうぞう八重やえに対して健一郎のお見合いが気に入らないからやめてくれと強要ようきゅうした。


雄一郎ゆういちろう房江ふさえから強要ようきゅうされた八重やえは、ものすごく困った声で言うた。


「雄一郎、健ちゃんのお見合いが気に入らないから断れってどう言うことなの?」


雄一郎ゆういちろうは、ものすごく怒った声で八重やえに言うた。


「やかましい!!だまれ!!健一郎のお見合いが気に入らないから断れといよんのが聞こえんのか!!」


かおるは、ものすごく困った声で雄一郎ゆういちろうに言うた。


雄一郎ゆういちろうさん、なんでそんなにガーガーガーガーおらぶのよ…」


房江ふさえは、ものすごくナマイキな声でかおるに言うた。


義父母おとうさまとおかあさまは、うちらをないがしろにしたのよ!!」


隆三りゅうぞうは、ものすごくつらい声で『ないがしろにしてないよ〜』と言うた。


そしたら、雄一郎ゆういちろう隆三りゅうぞうに対して『ハンロンするな!!』と言うて怒鳴りつけた。


かおるは、ものすごく困った声で雄一郎ゆういちろうに言うた。


「それじゃあ、あんたらは健ちゃんにどうしろと言うのよ!?…健ちゃんにお嫁さんもらうなと言いたいの!?」


そしたら、雄一郎ゆういちろうは『そんなことはひとことも言うてない!!』と言うて怒った。


房江ふさえは、ものすごくナマイキな声でかおるに言うた。


「うちらは、健一郎さんに相手おあいてを変えてと言うただけよ!!」

「(かおる、ものすごく困った声で)なんで健ちゃんの相手おあいてを変えないといかんのよ〜」

「(房江、あせった声で)うちの都合が悪いから変えてと言うたのよ!!」


雄一郎ゆういちろうは、ものすごくつらい声で隆三りゅうぞう八重やえに言うた。


「オヤジ、オフクロ…房江ふさえの実家のおにいが困っているんだよ…」


かおるは、ものすごく困った声で雄一郎ゆういちろうに言うた。


「おくさまのご実家は、どこにあるのよ?」

「(怒った声で)真備まきび(岡山県倉敷市)!!」

真備まきび…」


雄一郎ゆういちろうは、怒った声で言うた。


「きょう、房江ふさえの実家のおにいの嫁から電話があって…やさしい声で『いかがですか?』と言うてきた!!」

「いかがですかって?」

房江ふさえのおにいがいた農大だいがくのサークルの先輩の父親テテオヤがものすごく困っているんだよ!!」

「話は分かったわよ…きょうはもう遅いからまた日を改めて話し合いをしたらどう?」


かおるは、雄一郎ゆういちろうに対して隆三りゅうぞう八重やえと健一郎を交えて話し合いをしたらどうかと提示した。


そしたら、雄一郎ゆういちろうがかおるに対して怒った声で『時間がないんだよ!!』と言うた。


この時、かおるの横にいた健一郎が思い切りブチ切れた。


「ふざけんな兄貴クソバカヤロウ!!」


ブチ切れた健一郎は、グーで雄一郎のこめかみを殴りつけた。


「なんやオドレ!!ぶっ殺すゾ!!」


雄一郎は、ワーッと叫びながら出刃包丁を取りにダイニングに行った。


「やめてください!!やめてください!!」


志桜里しおりは、必死になって雄一郎ゆういちろうを止めた。


「離せ!!」


雄一郎ゆういちろうは、怒鳴り声をあげながら出刃包丁はどこだと言うた。


かおるは、ものすごく困った表情で健一郎に言うた。


「健ちゃん、今すぐにお兄さんに謝りなさい!!」


健一郎は、怒った声で『兄貴クソバカが暴力ふるったからやり返した!!』とかおるに言うたあと、房江ふさえの顔を平手打ちで激しく叩いた。


その後、雄一郎ゆういちろうと健一郎は血みどろの大ゲンカを繰り広げた。


(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロドスーン!!バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!ドスーン!!ドザーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ドザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ドザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!)


深夜11時55分頃であった。


またところ変わって、JR大西駅のすぐ近くにある公園にて…


この時、1時間に100ミリに相当する雷を伴ったもう烈な雨がようしゃなく降ったので記録的短時間大雨情報が出たと思う。


公園内は、そこから5メートル前後に渡って浸水した。


(レンタルのニッケンの)トイレの扉が水圧で開かなくなった。


しかし…


中にいる竜史たつしときょうこは、全裸の状態で呼吸が停止していた。


ふたりは、激しく求め合っていた最中に脳出血を起こしたようだ。


それなのに、神谷こうのたにの家の人たちは竜史たつしを心配していなかった。


現場の公園は、大雨の影響で危ない状態になったので翌日からしばらくの間立ち入り禁止となった。


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