【甘やかされて育った健一郎】

時は流れて…


4月29日の午前11時頃であった。


ところ変わって、今治市大新田しないおおしんでんにある市営球場スタジアムにて…


この日は、市内にある6つの高校による野球の親善試合が催されていた。


昭久あきひさは、ひとりぼっちで球場ここの三塁側の席に座っていた。


三塁側の席は、私立高校メートクの全校生徒たちが座っていた。


昭久あきひさは、沢の鶴の1・5合のワンカップの酒をのみながら野球観戦かんせんしていた。


そんな中で、ブラスバンド部による演奏が始まった。


同時に、昭久あきひさの表情がくもった。


くもった表情を浮かべている昭久あきひさは、怒りながらつぶやいた。


あつこがいないブラスバンド部はイヤだ…


あつこがクラリネットを吹いている姿が見たい…


てつやもてつやで、ガッコーに行かずにフラフラしている…


いつになったら、ガッコーに行くのだ…


あつことてつやは…


わしのたったひとつの楽しみをぶち壊した…


わしは…


あつことてつやを…


一生許さない…


ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…


昭久あきひさは、ブツブツとつぶやきながらのみかけのワンカップ酒を一気にのみほした。


その後、間をおかずに2本目をあけた。


そしてまた、ごくごくと一気にのみほした。


さて、その頃であった。


またところ変わって、今治市宮下町しないみやしたちょうにある豪邸いえにて…


家の大広間には、かおると健一郎がいた。


ふたりは、お茶をのみながら楽しくお話をしていた。


この時間、トメはどこかへでかけていた…


志桜里しおりは、買い出しに行っていた…


昭久あきひさとあつこと竜史たつしも家に不在であった…


テーブルには、志桜里しおりがいれた番茶が入っている砥部焼きの湯のみが置かれていた。


かおるは、やさしい声で健一郎に言うた。


「健ちゃん。」

「はい?」

「健ちゃんが好みのタイプはどんなコかなぁ?」

「(コンワクした声で)えっ?」

「急にこんなことを聞いてごめんね…うちは、健ちゃんはどういったタイプの女性ひとをお嫁さんにしたいのか…と聞いてみただけよ。」

「(コンワクした声で)どういったタイプの女性ひとと言われてもぉ〜」


健一郎は、ものすごく困った声でかおるに言うた。


そんな時であった。


てつやが大広間の前を通りかかったので、かおるはやさしく声をかけた。


「てつや、健ちゃんが遊びに来ているわよ。」


かおるはてつやにやさしく声をかけたが、てつやは無愛想な表情を浮かべていた。


かおるは、困った声でてつやに言うた。


「てつや、健ちゃんはてつやのことを心配して来てくださったのよ…」


健一郎は、てつやに対して過度にやさしい声で言うた。


「てつやさん、明日は楽しい合宿訓練がっしゅくがあるんだよ…みんなで淡路島(の国立青年の家)に行くんだよ…準備はできているかな?」


健一郎がやさしく言うているのに、てつやは健一郎をするどい目つきでにらみつけていた。


それでも健一郎は、てつやに対して過度にやさしい声で言うた。


「てつやさん、明日から4日間は楽しい合宿訓練がっしゅくだよ…ハンゴウスイハンでカレー作ったり、キャンプファイヤーなどがあるんだよ…」


かおるは、困った声でてつやに言うた。


「てつや、ガッコーに行ったら楽しいよって健ちゃんは言うてるのよ…健ちゃんは…」


はぐいたらしいんだよオドレは…


健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん…


ふざけるな!!


てつやは、するどい目つきでかおると健一郎をイカクしたあと家から出ていった。


「てつや待ちなさい!!なんで健ちゃんをするどい目つきでにらむのよ!!健ちゃんはなんの落ち度もないのよ!!」


(バーン!!)


ブチ切れたてつやは、玄関のドアをバーンとしめた。


ドアをバーンとしめた音が家中に響いた。


かおるは、オタオタした様子であたりをみわたした。


健一郎は、両手で耳をふさいだ状態でおびえていた。


なんで健ちゃんにひどいことをするのよ…


健ちゃんは、てつやが楽しくコーコーに行けるようにと思って親切にしているのよ…


それなのに、健ちゃんに暴力をふるうなんて…


あんまりだわ…


時は、午後3時半頃であった。


またところ変わって、イオンモール今治新都市の中にあるイオンスタイルにて…


志桜里しおりは、夕飯の買い出しを終えたあと店内にあるパン屋のサロン席にいた。


志桜里しおりは、102円のブレンドコーヒーをのみながら休憩していた。


志桜里しおりが座っている席の横には、食材がぎっしりと詰まっているエコバッグを積んだカートが置かれていた。


志桜里しおりがお茶をのみながら休憩していた時であった。


志桜里しおりのもとに、近所で暮らしている奥さまがやって来た。


奥さまは、志桜里しおりに対してめんどい声で言うた。


「ちょっとかまん?」

「あっ、ご近所の奥さま。」

「あんたは、神谷こうのたに豪邸おやしきのお手伝いさん?」

「はい。」

「(すごんだ声で言う)やとい主はだれ!?」

「やとい主は、奥さま(トメ)ですが…」


奥さまは、すごんだ声で志桜里しおりを攻撃した。


「あんた!!」

「なんでしょうか?」

神谷こうのたに豪邸おやしきに30代前半の男性客きゃくがたずねて来たけど、どこの家の子息ぼっちゃまよ!?」

「その方は、お嫁さん(かおる)の娘さん(あつこ)のお友だちですが…」


奥さまは、志桜里しおりに対して怒った声で『あっそうですか!!』と言うた。


奥さまから攻撃された志桜里しおりは、心配げな声で奥さまに言うた。


「あの〜」

「なんでしょうか!?」

「奥さまは、健一郎さんに対してご不満があるのでしょうか?」

「(ものすごく怒った声で言う)ええあるわよ!!雑賀さいかの家の健一郎バカぼっちゃまのせいでみーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんながメーワクしているのよ!!」


志桜里しおりは、ものすごく困った声で奥さまに言うた。


「奥さま、健一郎さんが地区みんなにメーワクをかけたと言うコンキョはなんでしょうか…健一郎さんのおとーさまは愛媛県警けんけいの警察官、おかーさまは県病院の看護婦さんで県民みなさまのために尽くして来たのよ…健一郎さんが幸せになるために身をにして…」

「そんな話は信用できんわよ…そう言えるコンキョがないのにえらそうに言わないでよ!!」


奥さまからバトウされた志桜里しおりは、泣きそうな表情を浮かべた。


奥さまは、志桜里しおりに対してよりツウレツなイヤミを言うた。


「あのね、さっきスタバの前で広江さんの奥さまと会ったわよ…その時にちょいと小耳にはさんだ話だけど…」

「小耳にはさんだ話し?」

「あのね…広江さん方のお向いの新宮原しんぐうばらさんの子息むすこさんが…高地町こうちちょうの山林でシッソウしたわよ。」


奥さまからことの次第を聞いた志桜里しおりは、顔が真っ青になった。


シッソウ…


新宮原しんぐうばらさん方の子息むすこさんがシッソウした…


志桜里しおりは、奥さまに対してこう言うた。


「あの〜…新宮原しんぐうばらさんの子息むすこさんは、なんでシッソウしたのですか?」


奥さまは、志桜里しおりに対して決めつけ声で言うた。


「シッソウした原因はすぐに分かるわよ…雑賀さいか子息バカぼっちゃまに原因があるのよ…」


志桜里しおりは、泣きそうな声で奥さまに言うた。


「だからどうして健一郎さんに原因があると言うのですか!?」


奥さまは、えらそうな声で『コンキョがあるから言うたのよ。』と言うたあと、あることないことをペラペラとしゃべりまくった。


雑賀さいか子息バカぼっちゃまは、人のコネを使って私立高校メートクに行ったのよ…私立高校メートクから短大メータンまでラクチンラクチンラクチン…広島の工業大学に編入も人のコネで行った…そんなラクチンばかりしよったけん子息バカぼっちゃまはだめになったのよ…私立高校メートクにいた時によぉけ悪いことしていたと聞いたわよ…子息バカぼっちゃまがシューバンさぼったことが原因で後ろの生徒がシューバンしなくなった…お昼のべんとうの時、人のお弁当を食べさせてもらう…食べさせてもらった人に『遊びに行っていい?』と強要するなど悪いことをした…お友だちの家に入りびたりになって、プレステ遊びに夢中になったあと、泊まり込んだ…それなのに、雑賀さいかのご夫婦は知らん顔よ…ご主人が愛媛県警けんけいのリッパな警察官と言うけど、署内おくないで万年備品係り…どこがリッパかしら…奥さまは県病院の看護婦と言うけどホンマかしらね…雑賀さいかの家の親類もダメ人間ばかりだからいかんねぇ〜だから健一郎は子息バカぼっちゃまになったのよ…オーーーーーーーーーーーーッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッ〜」


奥さまは、よりツウレツな高飛車嗤タカビーわらいを志桜里しおりに浴びせた。


志桜里しおりは、ワーッと泣きながら店内から出ていった。


志桜里しおりは、この時食材がぎっしりと詰まっているエコバッグを忘れていたことに気がついていなかった。


時は、夕方6時半頃であった。


またところ変わって、今治市宮下町しないみやしたちょう豪邸いえの大広間にて…


テーブルの上には、重松飯店(大正町にあるラーメン屋さん)の特製のやきぶたたまごめしのセットが並んでいた。


家の大広間には、トメとかおると健一郎と志桜里しおりの4人がいた。


昭久あきひさとあつことてつやと竜史たつしの4人は、家にいなかった。


予定していた夕飯メニューは、志桜里しおりがイオンスタイルに食材を置き去りにして帰ったことが原因で出前てんやもののやきぶたたまごめしに変更された。


トメは、ものすごく怒った声で志桜里しおりに言うた。


「あんたええかげんにしいよ!!あんたがまたイオンスタイルに食材を置き去りにしたことが原因でまた出前てんやもののやきぶたたまごめしに変更されたのよ!!あんたこの最近、勤務態度たいどが悪いみたいね!!」


志桜里しおりは、ものすごく泣きそうな声で『ごめんなさい〜』とトメに言うた。


トメは、ものすごく怒った声で言うた。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…あんたは『ごめんなさい…』と言うたらこらえてくれると思っているみたいね!!」


たまりかねたかおるは、ものすごく困った声でトメに言うた。


義母おかあさま、やめてください…そんなにボロクソに言うたら志桜里しおりさんがイシュクするわよ。」


トメは、ものすごく怒った声で言うた。


「はぐいたらしい嫁ね!!ボロクソに言いたくなるわよ!!」

義母おかあさま!!」

「なんやねんあんたは!!」

「健ちゃんがいる前でガーガーガーガーおらばないでください!!」

「やかましいクソナマイキな嫁ね!!」

「あんたこそはぐいたらしいババァね!!」


端で聞いていた健一郎がものすごく泣きそうな表情でかおるに言うた。


「ぼく…家に帰ります…」


かおるは、おどろいた声で健一郎に言うた。


「どうして帰るの?」


健一郎は、女々しい声でかおるに言うた。


「おかーさんが晩ごはんまでに帰りなさいと言うたから帰ります。」


かおるにわけを話した健一郎は、メソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソ…と泣いた。


かおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「あのね健ちゃん…さっきおかーさんから電話があってね…『1時間前に救急車で搬送された患者さんの容態ようだいが急変したので帰ることができなくなったから、うちで夕飯ばんごはんをお願いします…』と言うてたよ。」


健一郎は、女々しい声で『ほんとうですか?』とかおるに言うた。


かおるは、過度にやさしい声で『ほんとうよ。』と健一郎に言うた。


健一郎は、女々しい声で『やっぱりよくない…』と言うた。


端で聞いていたトメは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「ああ、健一郎さん…おかーさんは『かまんよ。』といよんよ。」


健一郎は、女々しい声で『やっぱりよくない…』と言うたあと料理ができない自分を責めまくった。


トメとかおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。


「そんなことはないわよ…ねぇ義母おかあさま〜」

「そうよそうよ…むかしの人のことわざで『ダンシチュウボウに入るべからず』があったわよ…ムリに料理を学んでも失敗するだけよ。」

「健ちゃんは自分で料理すると言うけど、やけどしたり包丁でケガしたら困るのよ…それはいかんよね。」


かおるから過度にやさしい声で言われた健一郎は、つらい表情で首をたてにふった。


トメは、ものすごくやさしい声で健一郎に言うた。


「だったら、うちで食べなさい…オフロもうちで入りなさい…明日の朝ごはんもうちで食べなさい。」


かおるは、よりやさしい声で健一郎に言うた。


「健ちゃんはひとりじゃないのよ…うちら家族がいるから大丈夫よ。」


トメは、ものすごくやさしい声で健一郎に言うた。


「もういいから、ごはん食べなさい…やきぶたたまごめしが冷えるわよ。」


このあと、かおるは健一郎に対して過度にやさしく接した。


「健ちゃんごはん食べようね…お肉とたまごがたくさん入っているわよ…ごはん食べているうちにいい知恵が見つかるわよ。」


それから40秒後であった。


(ピンポーン〜)


玄関の呼鈴ベルが鳴ったので、志桜里しおりが応対に出た。


「は〜い。」


ところ変わって、玄関にて…


志桜里しおりは、玄関にいる人をよく確認してからドアをあけた。


(ガチャッ…)


ドアの向こうに、おとなりの家の奥さまが立っていた。


おとなりの家の奥さまは、回覧板を持っていた。


「ああ、おとなりの奥さま。」

「ああ、お手伝いさんね…回覧板を持って来ました。」

「ありがとうございます。」


おとなりの家の奥さまは、土間に置かれている健一郎のくつをちらっとみたあと、ものすごくイヤミな声で志桜里しおりに言うた。


「ちょいとお手伝いさん。」

「はい?」

「また雑賀さいかの家の子息バカぼっちゃまが来ているのね。」

「(ものすごく困った声で言う)奥さま、それはどういう意味ですか?」

「(ものすごくイヤミ)別に意味なんかないわよ…ちょいとお手伝いさんに話があるけどかまん?」

「えっ?ちょっと…奥さま…」


おとなりの奥さまは志桜里しおりの腕を強引につかんだあと、500メートル先にある露地ろじへ無理やり連れて行った。


ところ変わって、家から500メートル先にある露地裏にて…


おとなりの奥さまは、志桜里しおりに対して変なことを言うた。


「ちょっとあんた。」

「(キョトンとした表情で)はい、なんでしょうか?」

雑賀さいか子息バカぼっちゃまは、いつ頃から神谷こうのたにの家の子になったのよ?」

「いつからって…」

「あんたは、な~んにも聞いてないの?」

「うちが神谷おやしきに仕えるようになったのは10年前です…それ以前のことは全く知りません。」

「そうだったわね。」


志桜里しおりは、ものすごく困った声でおとなりの奥さまに言うた。


「あの〜」

「(すごんだ声で)なに?」

「奥さまは、健一郎さんに対して子息バカぼっちゃまと言いましたね。」

「(ナマイキな声で)言うたわよ。」

「それはどういう意味ですか?」

「(ナマイキな声で)あんた知らんかったの?」

「健一郎さんは、おやさしい人なのよ。」

「(怒った声で)うそ言われん!!」

「うそじゃありません…健一郎さんはとても親切な人です…あつこさんとてつやさんの学生証を短大メータンに行けるようにひもづけする手続きを取るなど…あつこさんとてつやさんにやさしく接しているのですよ。」


おとなりの奥さまは、ものすごく恐ろしい声で志桜里しおりに言うた。


「あんたね!!だまされていることに気がつきなさいよ!!」


志桜里しおりは、おびえた声で『だまされているって?』と言うた。


おとなりの奥さまは、ものすごく恐ろしい声で志桜里しおりに言うた。


「あんたにだけ言うけど、うちは雑賀さいかの家に対してクレームがあるのよ!!」

「(おびえた声で)クレームって…」

「クレームの原因は、ぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん子息バカぼっちゃまにあるのよ!!」


おとなりの奥さまからことの次第を聞いた志桜里しおりは、思わずさけびそうになった。


ウソでしょ…


なんで健一郎さんひとりにクレームの原因があるのよ…


志桜里しおりは、さけびたい気持ちをおさえながらおとなりの奥さまに言うた。


「あの奥さま。」

「(恐ろしい声で)なによ!!」

「なにをコンキョにそんなことを言うのですか?」


志桜里しおりの問いに対して、おとなりの奥さまはナマイキな声で『あるわよ。』と答えてから志桜里しおりに言うた。


「そのようになった元凶は、新宮原しんぐうばらさん方の子息むすこさんが高地町こうちちょうの山林でシッソウしたことにあるのよ。」

「えっ?」

「(クソナマイキな声で)あんた知らなかったの?新宮原しんぐうばらさんの子息むすこさんは、健一郎バカぼっちゃま婚約者かのじょを取られたのよ…それを苦に家出したのよ。」


おとなりの奥さまからことの次第を聞いた志桜里しおりは、取り乱した声で言うた。


「そんな…それはなにかの間違いだと思いますが…」


おとなりの奥さまは、非常に強い恐怖を込めながら志桜里しおりに言うた。


「あんたはまだ分からないみたいね!!」


志桜里しおりは、取り乱した声でおとなりの奥さまに言うた。


「あの…奥さまは健一郎さんにどんな落ち度があると言いたいのですか?」


おとなりの奥さまは、クソナマイキな態度で志桜里しおりに言うた。


「落ち度があるから言うたのよ…健一郎バカぼっちゃまは、女に関連するもめごとをよぉけ犯していたのよ…新宮原しんぐうばらさん方の子息むすこさんは、婚約者かのじょと結婚すると決めたあとこまごまと準備していたのよ…それを健一郎バカぼっちゃまがいらんことしたのよ!!」

「いらんことしたって…」

「あのね…さっき行川なめかわの奥さまから聞いた話だけど…先週か先々週ごろに…健一郎バカぼっちゃまが例の婚約者かのじょと一緒に今治国際いまこく(ホテル)で開催されていたブライダルフェアにいたところをみたっていよった。」

「それは、ほんとうの話ですか?」

「(きっぱりと言う)ほんとうよ。」

「それはなんで?」

「(クソナマイキな声で)健一郎バカぼっちゃまは、例の婚約者かのじょが好きなのよ…好きだから、略奪ドロボーしたのよ。」


おとなりの奥さまからことの次第を聞いた志桜里しおりは、ものすごくおびえた声で『略奪ドロボーした…って…』と言うた。


おとなりの奥さまは、志桜里しおりに対して、さらにえげつないことをペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ…としゃべりまくった。


健一郎バカぼっちゃまは、婚約者かのじょからたのまれてかわりに行ったと言うけど、下心まるだしよ…新宮原しんぐうばらの家の子息むすこさんのピンチヒッターで行ったのはタテマエ…ホンネは、婚約者かのじょのむっちりボディがほしかっただけよ…それともう一つ…行川なめかわさんのムコはんから聞いた話だけど…健一郎バカぼっちゃま新宮原しんぐうばらさんの子息むすこさん婚約者かのじょを連れて…(衣干の)ヤマダ電機の付近にあるラブボに出入りしていたのを見たといよったよ。」

「(おびえた声で)ら…ラブボ…」

「そうよ…」

「そんなのウソよ…」

「あんたは、健一郎バカぼっちゃまにだまされていることがまだ分からないの!?」

「奥さま…もうやめてください!!」

「まだあるわよ!!」

「もうやめてください!!」

「分かったわ…それじゃあここでやめておくわ…だけど最後にもうひとついわしてもらうわよ…あのね…また行川なめかわさんの奥さまから聞いた話だけど…雑賀さいかの奥さまが今治駅えきのバス乗り場にある電話ボックスから神谷おたくにウソの電話をかけていたところを聞いたといよったよ。」

「ウソの電話って?」

雑賀さいかの奥さまは、神谷おたく急患きゅうようと電話でウソを言うたあと、足早に松山市駅しえき行きの特急バスに乗り込んだみたいよ…その後、どこへ行ったと思う?」

「どこって?」

「(耳もとでささやく)ホ・ス・ト…」

「ホスト?」

「そうよ…雑賀さいかの奥さまね…数年前から(松山市)二番町にばんちょうのホストクラブに通い始めたのよ…それがもとで県病院を勝手に休むようになったのよ…」

「ウソでしょ…」

「ほんとうだから言うたのよ…雑賀さいかさんの奥さまは、この最近カネ使いがおんまく悪いみたいよ。」

「まさか…」


おとなりの奥さまは、志桜里しおりに対してものすごく強烈なインパクトを与えた。


雑賀さいかの奥さまは…ホストクラブにのめり込んだことが原因で…お給料をよぉけ前借りしていたみたいよ…それが原因で…数年間お給料は0円よ…そのまた上に…雑賀さいかの奥さまは、人の家に行ってカネをムシンするようになったのよ…なにがリッパな看護婦さんかしらね…ご主人は愛媛県警けんけいの警察官と言うけど、万年備品係で超安月給よ…雑賀さいかのご主人もご主人で人のカネをドロボーしよる…極悪人ごくあくにんと交友関係があると言ううわさがある…なにがリッパな警察官よ…おんまくふざけてるわよ…あ〜あ、もうや~めた…」


おとなりの奥さまは、志桜里しおりに対して、言いたいことをペラペラとしゃべりまくったあと、志桜里しおりに恐ろしい声で言うた。


「あんた…きょううちが話したことは人には言われんよ。」

「言いませんけど…」


おとなりの奥さまは、志桜里しおりに抱きついたあとより激しいキスでくちびるをおさえつけた。


そして…


「イヤ…」


おとなりの奥さまは、志桜里しおりを倒したあとスカートの中からショーツを脱がした。


「やめて…」


志桜里しおりは、おとなりの奥さまに身体を押さえつけられていたので身動きができなかった。


おとなりの奥さまからシツヨウに犯された志桜里しおりは、グチョグチョに汚れた。


志桜里しおりは、おとなりの奥さまから『しゃべったら恐ろしい目に遭うわよ!!』と凄まれたと同時に、よりし烈な恐怖をうえつけられた。


こわい…


おんまくこわい…


一体どういうことよ…


おとなりの奥さまは、なにを考えているのかしら…


もしかしたら…


健一郎さんのご両親を強請ゆするつもりかもしれない…


こわい…


こわい…


こわい…


……………

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