第4話 人気者になるならゲーム配信だ!

 リアルでは、ぼっちだけどニコニコ生放送の世界では人気者になれるのではないか。しかし、それは幻想だった。私(真奈美)は、深い挫折を味わって、しばらく放送を休んでいたわけだが、休んでいても状況は悪化することは、あっても好転する事はなかった。月日がながれるほど、高校での私の居場所はなくなり、ますます空気のような存在になっていった。学校へ行っても、誰も相手にしてもらえず、私が教室にいても、誰も私に話しかけてはくれないのだ。私の事が本当に見えてるのか不安になってくる。学校に私の居場所は完全になくなった。だから、私はニコニコ生放送に私のできる全ての事をなんでもしようと決意した。しかし、放送を続けても最高来場者数は3。コメント数は0。唯一、私の放送でコメントできるのかテストしようとして、「わこつ」とコメントしたのを数えれば1だが、実質0である。私はこのまま、音声のみの雑談放送を続けていっても意味はない。そう思い、次は何をすれば良いのか考えていた。


 人気生放送主となった猫耳をつけた30代女性の香菜は何をしているのか。香菜の放送をじっくりみて、分析を続けた。そして、やはりゲーム実況すれば良いのではないかと思い、私も挑戦してみることにしたのだった。


 香菜(かな)は、ファミコンのマリオを前、やっていた。やはり、マリオのアクションゲームをやるのが良さそうだ。マリオなら誰がプレイしていても少しくらい放送をみにきてくれる人がいそうだ。私はニンテンドースイッチで、ファミコンのマリオをプレイすることに決めた。そして単純にプレイするだけではつまらないので、「マリオクリアするまで終わりません」をやる事にした。


 そう決意して、私はひさしぶりに放送を開始した。生放送を始めた当初は、放送前に死ぬほど緊張したけど、今はそこまでの緊張はしていない。いまだに放送前は緊張はするが、ほどほどの緊張感だ。「私、だいぶニコ生にも慣れてきたかも。成長したな・・。」と自分にかなり甘い自己分析をした。実際、成長したかどうかは自分ではわからないが、やはりそう思わないと生きていけないのだ。私は放送を開始したが、ある事に気付いた。放送できているか確認しようと自分の配信画面をみたが、画面が真っ暗なのだ。「どうしてなの・・。」パソコンにはちゃんとゲーム画面が綺麗にうつっているのになぜか生放送の画面にはうつらず、真っ暗だった。私は原因をつきとめるため、いろいろ他の人の放送やネットで情報を集めた。しかし、なかなかうまくいかず、そんな事をしていたら数週間が経過したのだった。いろいろキャプチャーボードのこととか設定とかいろいろ調べた結果、ようやく私は画面をうつすことに成功したのだった。「やったああ・・。やっとできたああ。」少し達成感があった。しかし、まだスタートラインに立っただけだ。これからなのだ。


 私の放送の来場者数は「ゲーム配信設定テスト放送」というタイトルで放送していたら来場者数が8人までに増えた。私は少し感動した。でも、徐々に人気がでてきたわけではなく、単純に「テスト放送」が好きとかいうマニアックな人が、ニコニコには一定数いるというだけなんじゃないかと、私は思った。でも、コメント数はいまだに0だった。私はニコニコ生放送で、これだけ放送していて、コメント0とか逆にすごいと思った。テスト放送とかやっていたら、普通、何かアドバイスしたくなってコメントしちゃいそうなもんなのに誰もコメントしないのだ。みんな一致団結して、私の放送にコメントしないようにって言われているんじゃないかとさえ思えてきた。もちろん、そんな事がないのだろうけど・・。コメントが0の事に対して、自分で少し面白いと一瞬感じたけど、次の瞬間また悲しくなってきた。私は情緒不安定なのかもしれない。

 

 私はゲーム配信の設定が完璧になり、いよいよゲーム配信を本格的にスタートしたのだった。


(続く)

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