第3話 ニコニコ生放送でドキドキの初放送!

 今日、私は遂に念願のニコニコ生放送の初放送をした。・・・・。と言いたいところだけど放送開始のボタンを押そうとしたが押すことができなかった。私は今まで感じたことのない程、緊張していた。たぶん、心拍数が急上昇しているのだろう。自分でも普段、感じたことないような勢いで心臓が動いているのを感じだ。だいたい、ニコニコで何をしゃべれば良いのだろうか。普段、人と全く会話したことがない極度なコミュ障な私が生放送で何をしゃべれば良いのか。全くわからなかった。放送前に何をしゃべるか台本みたいなものを準備していた方が良いのだろうか。それとも、何も準備せずに視聴者のコメントをみながら、アドリブでしゃべった方が良いのだろうか。いや、アドリブとか無理に決まっている。そんなのコミュ障の私が最も苦手な事じゃないか。そんなことをずっと考えていたら、1日が終わっていた。そして、同じようにグルグルと同じような事を考えていた。思考のジャグリングじゃないか。そして数週間が経過してしまった。私はこのまま意味のない時間をずっと過ごすわけにはいかないと、いまさら気付き、いったん、文章に書いて状況を整理しようとした。


 「ええと。何が問題なんだっけ?ええと・・。そうそう。台本を作るか。アドリブで話すか・・だっけ。アドリブじゃないと視聴者がつまらないんじゃないかな。視聴者はリアルタイムで、その時に、ぱっと感じた事をしゃべってくれた方が面白いと感じるんじゃないかな・・。でも、私にそんな能力はない・・。多少、面白くなくなっても台本を作るべきだろう。私にはその方法しか無理だ。それに台本を作ったとしても臨機応変に、その時、流れるコメントにあわせてアドリブも混ぜて、しゃべれば良いじゃないか・・。そんな事、できそうにないけど、やってみるしかない。」と私は心の中では、いつものように流暢にしゃべれっていた。


 私は事前に台本を作って放送する事にした。

 「最初は何を話せば良いかな。人気生主になった香菜なら何と言っていただろうか。そうそう。放送開始した時に、挨拶をしていた。(はい。皆さん、こんにちは。丸顔が可愛いくて、萌え声の香菜です。今日もファミコンのマリオ2の英語縛り、全クリするまで終われませんをやっていこと思います。にゃん。よろしくお願いします。にゃん、にゃん。)と言っていた。」

 私(真奈美)は香菜の放送を参考に台本を入念に作りこんだ。そして、今度こそ、本当に勇気をふりしぼって、放送開始ボタンを押したのだった。


 香菜の放送だとボタンを押した途端にものすごい勢いで大量のコメントが流れてくるんだけど、放送開始して30秒経過したが全くコメントが流れてこなかった。来場者数も0・・・。コメントも0・・・。どういうことだろうか。放送開始できていないのか。それとも音声の設定ミスか・・。ネットで事前に調べて音声の設定もしたし、マイクも香菜とお揃いのマイクをめっちゃ高かったけどお年玉のお金を使って、買ったのに・・。どういうことだろうか。私は放送開始から数分経過した後、さすがにおかしいなと思い、自分の放送画面をひらいた。私はマイクで少ししゃべってみた。「あーあー。マイクのテスト・・・・。」私の声が放送画面からラグで少し遅れて、きこえてきた。ひどい声だ。低いおっさんのような声だった。自分の声は大っ嫌いだ。でも、自分で思っているほど、他人は変な声と思っていないもの、という話もきいたことがある。もしかしたら、こんな声でも萌え声にきこえたり、「この声、大好き」というマニアックな人もいるかもしれないと私にしては珍しくポジティブシンキングした。そうだと思わなければやってられないというのもある。放送はちゃんと開始されていることが確認できた。今度は、自分の放送にコメントできるかチェックしてみた。試しに「わこつ」とコメントしてみた。すると、ちゃんとコメントすることができたのだった。やっぱり、放送できてるよな・・。でも、コメントは私の書いたもの以外は0だった。単純に誰も見ていないだけのようだ。当たり前だ。放送を始めたばかりの私なんて誰も知らない。誰もみにくるわけないのだ。地道にやっていくしかない。私はそう考え、1回30分の放送を1枠放送した後も、数枠、放送してみた。しかし、コメントは誰もしてくれなかった。来場者数の方は最高3人だった。しかもこの来場者数はリアルタイムではなく一瞬でもみれば、カウントされるっぽくて、実際はほぼ0人の時間を長く過ごしているようなのだ。私は、放送している意味ないな、と悲しい気持ちになった・・。ネットの世界でも私はぼっちだった。誰も私の事なんて興味ないんだ。そう思った。1日放送終わった後にコミュニティの人数を確認した。1人も増えていなかった。フォロワーも0人だ。もしかしたら、コミュニティとかフォロワーの人数が増えているかなと少し期待した私が馬鹿だった。私は鉄のメンタルでその後、1週間放送を続けたが状況はまったくかわらなかったのだった。


(続く)

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