第5話 魔王軍

「フハハ、やっぱ人間は脆いなァア!!」


 何回か、突撃をさせられた後、俺は化け物共と結託し、人類軍に復讐を始めた。

 そう、この化け物たちは以外にも意思疎通が取れる。言葉は話せないが、言いたいことはなんとなくわかるからな。


 公社の研究部によると、もしかしたら化け物は元人間なのではという疑惑がある。

 宝石による蘇生を繰り返しすぎると、化け物になる可能性があるとのことだ。


 蘇生は便利だが、一定期間に繰り返しすぎると身体や精神がバグる時がある。それはある程度の休養期間を設ければ自然回復するが、限度を超えれば……というわけである。


 現状、化け物に変わった人間は一人もいない。なので、突撃自爆とかいう非人道的な戦法も許容されているわけだが、将来的にはなくなるかもしれないな。


 まあ、それを待っているわけにもいかないので、俺は軍を完全撤退させることにした。


 俺は悲しかった。人類がこんな悪辣な手段しか取れないことを嘆いたのだ。


 なので化け物どもと協力して人類軍を駆逐することに決めたのだ。


 ああ、金儲けの方法は普通に分からなかった。何だったんだろうな、結局。


 まあ、この光景の前ではどうでもいいことだ。

 俺はまた何人かが、巨大な石によって引き潰されたのを見てそう思った。


 化け物たちの弱点は、遠距離攻撃がないことだ。

 手先が器用ではないので、人間のように弓などを使えない。したがって、自爆戦法なんて無理がまかり通る。

 近距離攻撃しかないなら、確実に自爆範囲まで近づけるからな。


 そこで俺は投石を奴らに教育した。


 文字通りフィジカルモンスターの彼らならば投石だけでも十分に戦力になる。いままで彼らが使っていなかったのは、彼らの前で石を投げるという攻撃をする人間がいなかったせいだろう。どうせ自爆するのに悪あがきで石投げる兵隊なんていなかった。


 化け物と俺はシンパシーが合った。

 正直に言えば、人間といるより落ち着く感じがした。


「やっぱそれってお前がラスボスだからじゃねえのか?」


 俺は馬鹿言っている馬鹿の首を配下の化け物にはねさせた。


 俺はただ単に人権意識をもとに、非人道的な軍事行動を行っている団体へ教育を施しているだけだ。

 だが、こいつの言うことは面白い。

 俺が今、必死こいて戦場にいるのは、そもそもクラゲへの借金が原因である。

 正直、今回の戦いの鹵獲品だけで借金は返せそうなものだが、この圧倒的戦力。

 それだけのために使ったのでは、もったいないおばけが出るというものだ。


「よし、クラゲを脅そう」


 俺は新たな決意をもとに、化け物共を引き連れて、ニューサイタマにあるクラゲの事務所へと行軍を開始した。

 

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