第47話 【番外編】あの時の女子会。

23話 アリスのお楽しみ計画。 ○アリス○

女の子達のお茶会の様子です(о´∀`о)ノ


本編の雰囲気を崩すほど楽しそうなので、番外編にしました。ご興味のある方は是非!




………………………………………………………………………






 あの時の女子会。





「…皆様、今日お集まり頂いたのには、別の目的がありますの。……一緒に楽しい事を致しましょう?」




 そう述べたアリスに、皆が少し不安そうに、けれど、期待のこもった声を上げる。




「…まぁ!何ですの?」


「楽しい事…でしょうか?」


「気になりますわっ!早く教えてくださいませ!」




 アリスがニコッと微笑んで、令嬢達に問いかける。




「…皆様、ミーナ嬢を客観的に思い浮かべてくださいませ。


 彼女は毎日、何のしがらみも考えず、勉強もせずに、自分の好きな男性…彼女の場合は気が多いので、多数の男性ですわね…。


 その多数の男性達と次々に仲良くなり、彼女に都合の良い【自由恋愛】という独自な考えを布教しながら、毎日甘く楽しそうな日常生活を送っていらっしゃいますわ…」




 そこまでで一度言葉を切り、少し置いてから再度アリスは口を開く。




「次に、私達のような一般的な令嬢の事を、思い浮かべてくださいませ。


 お利口にアカデミーに通い、お利口にお勉強をして、講義が終わるとすぐに帰宅し、お利口に予習復習をして、翌日またお利口にアカデミーに通いますわね…。


 どこからどう見ても、お利口で隙のない、貞淑な淑女…」




「…これが、私達にとっての当然ですわ。


 それに、私達は今の年齢になるまで、親や周囲からたくさんの事を、刷り込まれておりますでしょう?


 勉強しろ。賢くなれ。

 けれど、生意気にはなるな。女である事を自覚しろ。

 容姿を磨いて良い所に嫁げ。家門に泥を塗るな。

 貞淑であれ。はしたない振る舞いをするな。


 なんて、似た様な小言を、皆様も多かれ少なかれ、言われているのではないかしら?」




 令嬢達が皆、一様に考え込む。




「…私達とミーナ嬢。


 同じ性別で…同じアカデミーに通っている、同じ貴族の令嬢なのに、こんなにも違う…。


 もちろん、身分や性格は違いますけれど、それでも…。


 "彼女だけ、なんだか狡い"と、思いませんこと?


 私はどうにも心が狭いのか、そんな風に思ってしまうのです…。それに、悔しいのですけれど…少し羨ましいのですわ…」




 アリスは伏し目がちに、気落ちしたような表情を浮かべる。




 もちろん、こんな事を、アリス自身が考えているわけではないが、さも自身の心境を吐露したかのように装うことで、令嬢達の隠された気持ちを代弁する。




「…そんな!心が狭いだなんて、言わないでくださいませ!私だってその……恥ずかしながら、同じ気持ちですわ!」


「そうですわ!私も同じですわ!」


「…言われて気が付きましたわ。

 …いいえ、違いますわね。無意識に考えないようにしていたのかも知れません…。

 この感情は、紛れもなく嫉妬ですわ…」




 そして再びアリスが口を開く。




「…皆様も同じ気持ちだなんて…安心できました。それに、なんだか嬉しいですわ…」




 そう言ってアリスが、嬉しそうに微笑むと、令嬢達も同じ様に微笑み同意した。





「フフ。それで…皆様に、今回はご提案がありますの。


 私達もミーナ嬢と同じように、【自由恋愛】を楽しんでみませんこと?」



「まぁ!」


「それは…」


「でも、良いのかしら…?」





「不安もわかりますわ。


 けれど、皆様、考え方を少しだけ柔らかくしてくださいませ?


 社交界に出る前に、少しだけ男性と仲良くなる。…たった、それだけの事ですわ。


 本来、アカデミーの存在意義は、勉学や思想の教育と社交界進出までの準備…。


 男性と仲良くなる術(すべ)を今から学ぶ方が、将来の役に立つのではないかしら?それに、男友達が何人か増えるだけですわ。


 何の問題もないのではなくて?」



「…確かに」


「そう考えると、普通のことですわね…」


「問題ない気がして来ましたわ…」




「フフ。理解して貰えたようで、嬉しいですわ。


 もちろんジーク殿下の婚約者候補や、既に婚約者が居る方は、少し問題になるかもしれませんわ。


 …けれど、そうでない方であれば、何の問題もないと思いますの。


 男性を虜にする…。これは社交界に出て、家が定めた男性…婚約者や旦那様と仲良くなる必要がある私達にとっては、必須の技術…。だからこれは、一種の社会勉強とも言えますわ……それに」




 言葉を区切り、皆を見渡し言葉を続ける。




「彼女に出来る事が、私達に出来ないはずがないのではなくて?」



 アリスの言葉に戸惑っていた令嬢達は、パァッと笑顔になり、嬉しそうに同意した。




「ええ。その通りですわ!」


「私達に出来ないはずありませんわ!」


「…これは遊びではありませんわ…。プライドをかけた、男取りの勝負ですわね!」


「まぁ!なら、負けられませんわぁ!」


「まずは、戦略を立てましょう!」


「腕がなりますわぁ!」


「本気になる事と、色仕掛けは禁止ですわね!清く正しく美しくですわ!」


「そうね…。令嬢としての価値を落とす事が、私達の1番の敗戦条件ですわ!」




 こうして、女達の楽しいお茶会は、とっても楽しく過ぎて行くのであった…。

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