第28話 1人目の獲物・実行犯。


1人目の獲物・実行犯

ミーナの友人。

準男爵家の四女 ステラ。




 …まずい!まずい!まずい!まずいっ!!!


 なんで?!なんで!なんで!なんで!?どうして!?



 何であの女(ミーナ)、アレクシス殿下に手を出したの!?


 どの男も私の紹介でしか、会っていないはずなのに!



 管理は完璧だった…なのに、どうして!?



 令嬢の友達は居ないはずだし、令息からの紹介もないだろう…。ライバルを紹介するような、物好きは居ないはずだ…っ!!!



 ならば、どうして!!!!!



 本当はジーク殿下だけでよかったのに、気が多くて惚れやすいアイツを満足させるために、問題のない第二王子派の男を紹介し続けたのにっ!!!


 バカでくだらない惚気話も聞き続けた!

 だらしの無いアイツの予定も、管理してやったのに!!


 菓子に薬物を入れるのだって、バカなアイツの代わりに、危険を犯して欠かさずに行ったのにっ!!!



 なのに!なのに!なのに!どうして!?!?


 それに、アレクシス殿下には、万に一つも近付かないように、バカなアイツには3学年が別棟な事も、教えていなかった!!


 接触する機会なんか、絶対に無かったはずなのにっ!!


 本当に何がどうなってるの!?意味がわからない!!!!




 アレクシス殿下との接触に気が付いてからは、すぐに方向転換させて、即座に事態を収束させようとした。



 けれど、盛りのついた雌(ミーナ)を、コントロールする事なんて、とてもじゃ無いけれど出来なかったっ!!



 それどころか、事もあろうにっ!!!



「ステラ!ねぇ!ミーナにジークのお兄さんが居る事、黙ってたでしょ!ミーナ恥ずかしかったんだからぁ!ちゃんと教えておいてよね!!


 …あー!ミーナわかっちゃった!


 ステラったらぁ、アレクの事が好きだったんでしょ?


 でも、残念!早い者勝ちだよー!


 文句は言いっこなしだよね?

 ミーナはアレクの事、渡さないもんねー!」

 



 などと意味不明な理由で、この私に対して、敵意まで剥き出しにしてくる始末だ。




 この時は本当に…。


 毎日欠かさず面倒を見ていたバカ犬に、本気で噛みつかれた…。


 それぐらい最悪な気分だった!!




 今まで私が、どれだけ助けてやったと思ってるんだ…!!


 あのバカ女!!!バカのくせに!バカのくせに!バカのくせに!!



 …このままじゃ、このままじゃ、私が殺される…!!



 アレクシス殿下に、接触し出したのに気が付いてからは、菓子に毒を入れるのはやめたけれど、既に何度薬物入りの菓子を、食べてさせてしまったのか…検討もつかない…!!





 どうしよ、どうしよう、どうしたら良い!!




 もうこれ以上、時間稼ぎも限界っ…




「あらあらあら?顔色が悪いけれど…大丈夫?……大変!今すぐ介錯して差し上げましょう!」



「……えっ?」



 思考に耽っていたら、突如楽しげな声をかけられて、呆気に取られる。声のした方を向くと、騎士を連れた綺麗な令嬢が居た。



「ひっ!!何なの!?嫌ぁあ!!来ないでっ!!」



「まぁ、どうしたの?静かになさって?…でも、そんなに慌てるなんて……何か後ろめたいことでもあるのかしら?」



 コテンと首を傾けて、不思議そうな表情で尋ねてきた少女は、美しい唇の前に華奢な指を添え、暗に黙れと告げてくる。



「私は貴女のことを、介錯しに来ただけなの…言ってる意味…わかるかしら?」



 そう言って、綺麗な少女は無邪気に微笑んだ。



「っ…!!!」

 喉は鳴るのに、怯えて声にならない。



「…まぁ!大変!意識も朦朧としているみたい…急いでお連れして?」



 彼女の命令で、私は屈強な護衛に捕らえられた。



 そして、何かを嗅がされた時には、もう何も考えられなくなっていた。





………………………………………………………


完結後、ミーナの操り方法や、お菓子作りについては番外編を予定いしてます。よろしくお願い致します。

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