第7話 下準備。数日前。 ◼︎公爵視点◼︎


計画実行3日前・王宮

王妃謁見

ベルトハイド公爵視点



 王宮に行き、王妃様に謁見する。



「王妃陛下に、拝謁仕ります」

 兄妹とはいえ、最上位の敬意を示す。



「…良いのよ。楽にして頂戴…」



 王妃様の言葉を受けて、顔を上げる。

 心労故か、顔色が悪い。



 機嫌もあまり良くなさそうだ。



 他所行きの笑顔を浮かべ、白々しく尋ねる。

「ご機嫌如何でしょう。お姉様?」



「やめて。機嫌が良い理由がないのは、知っているでしょ?」


「これはこれは…失礼致しました」



「…それで?今日は何しにきたの?」



「…アリスをジーク殿下の婚約者候補に据えたく、そのお願いに参りました」


 機嫌の優れない王妃の為に、簡潔に目的を述べる。



「……構わないわ。


 でも、わかっていると思うけれど、私は反対よ?


 血が近いせいで、脆弱な子が生まれてきたり、子が出来なかったりしたら…。

 アリスには悪いけれど、わざわざリスクを取りたくは無いわ」



「ええ。お考えは、重々承知しております。…それでもお願いしているのです」


 目的は別にある事を、暗に匂わせる。



「…そう。精々頑張るのね…。あの子は結構人気者なのよ?」



「ええ。存じております。魅力的ですからね。変な虫まで寄せ付けてしまうぐらいに…」



「はぁ。やめて頂戴。聞きたくないわ」



「失礼致しました。では、婚約者候補の件、進めさせて頂きます。お時間頂き、ありがとうございました」



「…」

 王妃様は、片手だけ挙げて、見送ってくれる。




 王位奪取計画・第一段階。準備。

・公爵が王妃に根回しをして、アリスをジーク殿下の婚約者候補に捩じ込む。

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