第3話 計画を最大限楽しむ為に。 ○アリス視点○

計画的実行 前日

妹・アリス視点



明日から計画が開始される。



 どんなことが起こるのか、今からとっても楽しみ。



 最大限楽しむために、まずは少しだけ状況を整理しておく。




 我が王国には、2人の王子が居る。


 2人は、お母君が異なる異母兄弟。



 1人目の王子殿下は、先にお生まれになった、第一王子・アレクシス殿下。

 お母君が側妃様。

 側妃様のご生家は、リグ伯爵家。



 そして、2人目の王子殿下は、第二王子・ジーク殿下。

 お母君が王妃様。

 王妃様の生家は、ベルトハイド公爵家。


 ジーク殿下は、アレクシス殿下の生誕から、2ヶ月だけ遅れてお生まれになった。



 そんな、背景を持つ2人の王子様。



 未来の王になる王太子は、未だに確定していない。



 現在この王国では、自分達の後援する王子殿下を、空白の王太子の座につけようと、派閥争いが激化している。



 問題なのは、2人が生まれ落ちた時、2ヶ月という差が生まれた事だった。


 この2ヶ月間は、まさに【運命の悪戯】であった。


 先に生まれたアレクシス殿下と、2ヶ月後に生まれたジーク殿下は、運命の悪戯によって、実際には2ヶ月しか違わないのに、暦上では2人の間に、1歳の年齢差を仕立て上げた。



 アレクシス殿下は3学年

 ジーク殿下は2学年。



 だから今年、暦上だけでは1学年上の第一王子・アレクシス殿下が、先にアカデミーを卒業される。



 そしてアレクシス殿下は、先に成人して、先に政界と社交界に進出される。



 ジーク殿下は、あと一年。

 アカデミー生活を送らなければならない。



 だから貴族達の間では、この時を狙って、第一王子アレクシス殿下が、先んじて王太子として立太子されるのではないか?…と、まことしやかに噂されている。



 それぞれの王子を後援する派閥の緊張感は、最大まで高まっている。



 そんな緊迫した状況で、我等が後援している第二王子・ジーク殿下が【とある男爵令嬢に、ベタ惚れしている】というこの状況は、王位争いにおいて、とても大きな痛手であった。



 ちなみに、どちらの王子も婚約者は決めていない。



 婚約者候補は居るものの、どちらも戦局を見て婚約者を決める、腹積りらしい。



 これは、教育を重視した王国が国を挙げて、アカデミー卒業後の婚約・婚姻を推奨している事も関係しているので、そんなに可笑しな話ではない。



 そのため、現在は、婚約者という面だけで見ると、二人の王子に違いは生まれていない。



 しかし、皮肉にもその事実が、更に派閥争いを激化させている。



 各派閥の家々が、挙って自家のご令嬢を、婚約者候補へと推し挙げて、争いあっている。




 …状況だけで見ると、こんな感じかしら?




 次に、我がベルトハイド公爵家について軽く整理する。


 ベルトハイド公爵家は、現・王妃様の生家であり、当主の公爵(お父様)は王妃様の弟にあたる。


 私がアリス・ベルトハイド、2学年。

 兄がイリス・ベルトハイド、2学年。


 私達は仲の良い双子の兄妹。見た目はあまり似ていない。…正確に言うと、似せていない。


 最後は、公爵夫人であるお母様。


 以上が、今代のベルトハイド公爵家の面々で、とっても素敵な4人家族。

 





 また、食卓で話題に上がっていた、我らの女神の事も、触れておく。


 女神様とは、現・王妃様の事を指している。


 王家に嫁ぎ、我が家に多大なる利益を齎した伯母様の事を、尊敬の念を込めて、我が家では女神と称してお呼びしている。


 尊敬の念を込めると同時に、お立場的に様々な制限がかかる王妃様を慮って、秘密の呼称として女神の愛称を使っている。







 このような背景から、我が家は必然的に、血の繋がりのある王妃様・第二王子殿下の派閥に属し、派閥の筆頭家門にあたる。



 ベルトハイドの血を引く第二王子殿下に、王位を継がせ、この国の実権をベルトハイドの血で握る。



 それこそが、我々一族の悲願なのだ。




 だから、我が公爵家の面々は、この悲願を達成する為に、一丸となって計画を実行する。


 今のところ、整理できる情報はこんな所かしら?



 計画の内容については…今はまだ秘密。



 だって、知ってしまったら、つまらないでしょ?



 さぁ。我がベルトハイド公爵家が紡ぎ出す、第二王子殿下であるジーク殿下に、王位を捧げる物語が幕を開ける。



 お楽しみに?




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妹 アリス・ベルトハイド公爵令嬢 2学年

兄 イリス・ベルトハイド公爵令息 2学年


弟 ジーク殿下   2学年 母・王妃

兄 アレクシス殿下 3学年 母・即妃


蛾 ミーナ・マーテル男爵令嬢 1学年


女神=王妃様


ベルトハイド公爵家は王妃の生家であり、

王妃&第二王子派閥・筆頭



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