始まりは突然(第四章)

 岳は新聞部の三人に説明を始めた。

「昔不治の病に侵されながらもこの学校に通っていた女子生徒がいたんだ。けど、病気が原因でずっと保健室にいて仲の良い友達ができなかった。それどころか保健室の幽霊と呼ばれていじめを受けていた。それからしばらく経ったある日、彼女はその病気で死亡した。けど、その日の翌日から突然学校に来なくなったり、突然大けがをしてしまったりと生徒ばかりに不幸が続いた。しかもそれが今でも続いている。おそらく彼女はいじめを受けていたことがきっかけで生徒たちを呪ってやろうと考えるようになっているんだ。幽霊として…」

岳の話を聞いていた霞は驚いて何も言えなかった。

「だから夜の学校にいてはいけない。今すぐに逃げるんだ。」

霞は驚いて何も言えない状態だったが、しばらくしてから口を開いた。

「そうなんだね。やっぱり帰るのが一番みたいだね。」

霞は今すぐに帰ろうと親友たちに呼びかけようと後ろを向くが、そこには飛鳥と祐希の姿がなかった。

「あれ?二人ともどこに行ったの?」

飛鳥と祐希が突然いなくなってしまったので霞は不安になった。岳が声をかけた。

「どうした?早く帰らないとだぜ。」

「待って!飛鳥と祐希がどこにもいないんだけど…。」

「本当だ…。何があったんだ?」

霞と岳は祐希と飛鳥を探し始めた。教室の中にも階段の陰にも二人の姿はどこにもなかった。霞は二人で先に帰ってしまったのかと思い、電話をかけてみた。しかし、二人の形態にはつながらなかった。その時、後ろに誰かがいると感じ、二人は振り向いた。奥の方から一人の女性がゆっくりと近づいて来る。長い髪で顔を隠していて全身白ずくめの女性だ。

「ねえ、私たち友達を探しているんだけど…」

霞の言葉を遮って白い女は猛スピードで走ってきた。岳は霞の右手を引っ張ってその場から逃げ出した。階段を上って曲がり角を曲がってロッカーの陰に身を隠した。霞が言った。

「もしかして…さっき岳君が言った…」

「ああ。そうだ…。今度のターゲットは俺たちみたいだ。早く逃げないと!」

「でも、祐希と飛鳥がまだ…」

「なんで逃げようと考えないんだよ!こういう場合は…」

岳の言葉を遮って霞は岳にビンタをお見舞いした。

「何しやがる!俺は君の…」

「私は友達を見捨てたくないだけなの!私は友達と帰りも一緒だと約束したからそれを守りたいの!」

岳はしばらく黙ってから頭を下げて謝った。

「すまない。俺は安全のことばかり考えて…」

「わかってくれれば文句はないよ。私に協力してくれる?」

「もちろんだ。俺が奴をおびき寄せるから君は飛鳥たちを探してくれ!」

岳はそう言うとその場から走り出していった。白い女も岳を追って走り出す。

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