始まりは突然(第三章)
三人はそのまま校舎に忍び込んだ。校舎の中は霞たち以外に誰もいないが、真っ暗で今にも何かが出そうなほど不気味だ。霞たちは手に持った懐中電灯を使用して周辺を照らしながら歩き回るが、全身白ずくめの女性や行方不明の高校生たちが現れる気配はない。飛鳥が言った。
「ねえ霞、これってただ夜だから暗いだけの高校だと思うんだけどどう思う?」
「たしかに…。誰もいない。もしかして作り話なんじゃないのかな?」
霞はそう答えた。そんな二人に対して祐希も話に入る。
「それなら今からもう帰ってあの写真を見せてきた人に直接文句を言いに行こう!」
「けどもう夜だよ。」
祐希に対して飛鳥がツッコミを入れた。霞が二人に声をかけた。
「とにかくただ暗いだけで実際には誰もいなかったことが分かったからもう帰ろう!」
「そうだね。暗いからって怖がりすぎていた私たちが馬鹿だった。」
「うん。じゃあ帰りますか!」
帰ろうと考える霞に祐希と飛鳥は賛成した。校舎を出ようとしたその時、どこからか足音が聞こえ、三人は驚いてその場で凍りついた。足音はだんだん大きくなってくる。霞たちに近づいているのだ。霞は驚きながらも足音が聞こえる方向に向けて懐中電灯を照らした。その方向には一人の人間の姿が見える。次の瞬間、その人間が霞たちの方に駆け寄ってきた。どうやら霞たちの存在に気づいたみたいだ。ものすごいスピードで走ってきてあっという間に近くまで来た。それに対して三人は驚いて悲鳴を上げた。
「「「きゃああああああああああああああああああああああああああ!」」」
その悲鳴を聞いて駆け寄ってきた人物も驚いて尻もちをついてしまった。
「いてて…。あ~…びっくりした…。」
それはなんと霞の幼馴染でクラスメイトである男子生徒の今泉岳であった。これには霞たちも驚いた。霞が声をかけた。
「岳君!どうしてこんなところにいるの?」
「俺は大学の願書を書くために教室に残っていた。それが今終わったところだから帰ろうとしていたんだ。霞たちこそなんでここにいるの?」
「私たちは最近この学校で行方不明になった生徒と夜の学校にどこからか出てくる白ずくめで長い髪の女の人の真相を探るために来たんだけど…」
それを聞いた岳は凍りついた。どうやら何かを知っているようだ。飛鳥が声をかけた。
「どうしたの?岳君何か知っているの?」
岳はしばらく黙り込んでいたが、やがて口を開いた。
「霞たちって知っているか?」
「知っているって何を?」
岳の問いかけに対して祐希が問い返した。
「この学校の都市伝説のことだ。」
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