始まりは突然(第五章)
霞はその様子を見届けると二人とはまた別の方向へと走り出した。霞は友人を名前で呼んだ。
「飛鳥、祐希!どこにいるの?返事しなさいよ!」
しかし、返事はない。教室の中もトイレの中も職員室も図書室も探す霞だが、二人が見つかる気配はない。
「もしかして二人ともまさか…」
考えがどうしても悪い方向へと変わっていってしまいそうになった時、霞はまだ一度も探していなかった部屋を思い出した。
「そういえば校長室まだ見ていなかった。もしかして…」
霞は校長室の方へと走り出し、校長室のドアを開けて入っていった。
「二人共、いるなら返事して!」
しかし、二人が出てくる気配はない。霞は飛鳥や祐希の親にどう説明すればいいのかわからなくなり、涙を流した。その時、霞はあることに気づいた。床になぜかわずかだが隙間が見えるのだ。
(何この隙間?学校にいた時はこんな隙間なかったはずなのに…)
その床に触れた次の瞬間、床の一部が横に動き始めて地下に続く階段が現れた。
(これってもしや…)
そう感じた霞は階段を下りていき、存在しないはずの地下の階へと進んでいった。そこには白い縄で巻かれて身動きが取れない飛鳥と祐希と行方不明になった生徒たちの姿があった。「飛鳥、祐希!ここにいたんだね!」
「うん。霞、私も祐希も岳君と話している間にここに連れてこられちゃった。迷惑かけてごめん。」
「いや、無事でよかったよ。今縄をほどくからね。」
霞は最初に飛鳥と祐希の縄をほどきながら捕らわれていた生徒たちに言った。
「縄をほどいたら今すぐここから逃げるのよ。」
縄がほどけて自由になった祐希が他の人の縄をほどきながら言った。
「あの白い女の人、自分を見た人たちを生きて帰さずに全員捕まえてから殺すみたいなこと言っていた。」
「嘘でしょ…。それなら今すぐに逃げないと!」
飛鳥が男子生徒の縄をほどいて言った。
「自由になったみんなを連れて急いで校舎から出て家に帰って!」
「わかった。みんな急いで校舎から出てくれ!」
男子生徒は捕らわれていた生徒たちを連れて校舎から出ていった。その後を霞たち三人もついていく。そこへ、白い女から必死に逃げている岳が猛スピードで走ってきた。
「岳君、急いで!」
霞はいつでも出入り口を閉められるように出入り口のそばに立った。岳はさらにスピードを上げて校舎から脱出した。その直後に霞は急いで出入り口を閉めて飛鳥たちと共にその場から猛スピードで逃げ出した。白い女は霞たちを見届けると暗闇の中へと姿を消した。一体どこへ向かったのだろう…。
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