眩い存在達
私は課題を終えると、意気揚々とライトワーカーと名乗る女性にそれらを書いたものを渡した。
「よくできましたね」
女性はそう言ってくれた。
しかし、課題に取り組んだ内容や、スプレッドをライトワーカーと名乗る女性に渡し、勉強を終えてしばらく経った頃。
当時私はいい気になっていたのだが。
ライトワーカーを名乗る女性は私が考えたスプレッドを盗作して、
「この素晴らしいスプレッドは私が考案しました」
と、インターネットで、その女性のサイトで、その女性の名義で、自作発言していたのだ。
私は「なんで?どうして?」と言う思いで、女性にサイトのダイレクトメール欄から、メッセージを送った。
「それ、私が考えたスプレッドですよね?」と。
そして、その返信は割とすぐの頃、数時間程度で届いた。
「そんな証拠どこにあるのでしょうか?これは私が考案したものです」
スピリチュアル好きが全員、彼女のようなものだとは思っていない、けど。
彼女のそれは、『光』とは到底思えないものだった。
悔しくて、怒りが込み上げてきて、涙が溢れて、返信の内容が読めないし、頭の中に入らなかった。
「大体、本当に光の仕事人なら、自分から私は光の仕事人です、って言うんだろうか?」
そんなことが頭をよぎった。
そして、私は自分の本心に気づいた。
自分がなぜ、躍起になって、オラクルカードを学んでいたのか。
「私は本当は、魔法使いのおばあちゃんのように、人助けをする人とか人の役に立つ人になりたかったんだ」
それに気づいたその時、私はおばあちゃんが腰を痛めているのを感じ取った。
「?、何この感覚」
次に私は、「おばあちゃんの痛み、治れ!!!」と強く念じた。
しばらくしてから、母とおばあちゃんがいるリビングに来た。
「なんだか急に腰の痛みがすっかり無くなってね、不思議ね」
嬉しそうに話す、おばあちゃんと、嬉しそうに頷く、母。
「へー、最近悩んでいた、腰の痛みが取れたんだ! よかったね!」
辛い心境ではあったが、おばあちゃんの腰の痛みからの回復を喜び、私は自室に向かった。
自室に戻って戸を締めた途端、急に自分の全身が柔らかい光に包まれたかと思うと、その光は私の目の前で人の形になり、そして光から話しかけられた。
「あなたは、治癒の魔法使いとして目覚めました。あなたにはその力を行使する権利があります」
そう言ったかと思うと、光は室内でまばゆく弾け飛んだ。
そして、どこからか分からないが、上から一通の厳かな感じの封筒がひらひらと舞い降りた。
私は数分間くらいだっただろうか、呆然としていた。そして、徐々に自我を取り戻していった。
「治癒の、魔法……使い?」
先程の手紙を手に取り、封を開けて中に入っている便箋に書かれていることを読んでみると、先ほど言われたことと全く同じことが書かれていた。
はっとした。
「治癒の魔法の使い方、魔法使いになった今なら、スマホとかで検索できるはず」
すぐ行動に移した。
魔法使いにしか、見ることのできないサイトで魔法の学び方の情報を少し得た。
魔法使いにしか検索して使うことができないアプリ、魔法のアプリ。
その無料アプリで、治癒の魔法を学ぼう。
そして、魔法使いの通貨が魔法を学んだり使ったりする事でも貯められるお金が貯まったら、有料の魔法の勉強をするためのアプリや通信教育費などに使って。
私の夢はどんどん膨らんでいった。
「歩ちゃん、これ見て!」
昼食を摂りながら、その時の気持ちを思い出し、一人浸っていた私に、母が声をかけた。
母はいつの間にか、スマホを取り出して、その画面を私に見せた。
「紡(つむぐ)君が県内に引っ越してくる、愛知県内のドヨダ自動車と言う企業に勤めることになったから」
母のスマホに届いたメッセージを見て、私はそう理解した。
「え?本当に?」
私は歓喜の声を上げた。
紡とは、私の10歳くらい年下の父方の従兄弟。
そして私はこう思っている。
―――彼こそ、本当の光なのではないか? と。
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