王都復興掌握

1

 阿鼻叫喚の夜は過ぎ去った。

 だが朝日に照らされる王都グフォースアーティグシュターツには昨日の夜の惨劇の傷跡がくっきりと残されていた。

 崩れた建物、燻る火種、砂と化した王城。

 憔悴した顔を貼り付けた人々がそこら中に蔓延っていた。

 そんな中ヨドヤ商会員達は人員救命に奔走し、炊き出しをしたりして、人々の支援を行っていた。

 そんな風景が流れる中、ヘェッツにより保護されたフェアドレーツェ第二王女は疲れにより眠りについていた。

 そんな彼女が目を覚ましたのは昼日中の時間帯であった。

「お早う御座いますフェアドレーツェ第二王女殿下」

「ここは…」

「ここはディートリヒ男爵家で借り受けております屋敷に御座います」

「あー、ヘェッツに助けられたのですね」

「ヘェッツ様をお呼び致しますので少々お待ちください」

 アナはヘェッツを呼びに行った。


「お身体の具合はどうですか?」

「身体の方は倦怠感こそ有りますが健康そのものですよ」

「それは良かった。ですが、王都の状態は酷い物です」

「それ程ですか…」

「王城が崩壊しているので、どれ程の被害状況なのかも把握できていない状況で、殿下の父君…王の所在さえ解らない状況です」

「其程までの状況ですか」

「なので、今この状況下で不用意に殿下が外に出られた場合、どの様な騒ぎになるのか検討もつきません。ですが、このままの状況であれば…」

「私が出る必要が出てくるでしょうね」

「はい、その時までに何方か頼れる方を見つけなければなりません」

「そうですね、状況の確認と位の高い貴族の方を探すのをお願いできますか?」

「御意」


 しかし、高位の貴族は悉く殺されており、王族はフェアドレーツェ第二王女が残るのみであった。

 王国の首脳部は壊滅状態、その上に象徴たる皇家も生き残っているのはフェアドレーツェ第二王女のみ、後はこの状況からどう料理するのかはヨドヤ商会引いてはその裏に存在するイェーガー・デァ・ドンクレン・ナハト次第であったのだった。

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