第49話:思いやりと優しさ。
嫁さんは揉め事や喧嘩が大嫌い。
まあ、誰だってそうでしょうけど・・・。
と言うのも彼女にはひとつ違いの兄がいてあまり仲がよくなかったみたいなんです。
喧嘩もよくしていたらしい。
兄はいつも命令口調で、威圧的で思いやりがない人だったそう。
直接の暴力はふるわれたことはなかったようですが、言葉のDVは受けてた
みたいですね、
実は嫁さんは現在、自身の兄とは絶縁してるんです。
だから彼女は男性はみんなそういうもんだと思っていたらしい。
同級生の男子もみんな、そんなもんだと思っていた。
そんなだから僕と出会っても、僕がネコを被っていて最初は優しく
てもそのうち化けの皮が剥がれて男性の暴力的な本性を現すんじゃ
ないかと不安に思ってたらしい。
自分をモノみたいに扱って「おまえ」って呼び捨てにされて・・・。
だけど僕と付き合ってるうちに、ああこの人は違うって思うようになって
行ったんでしょうね。
この人に自分を委ねていいかもって思うようになった。
彼女は優しさに飢えてたんです。
もともと性格の明るい子だから精神的に落ち込むなんてことはなかったけど、
どこかで男性の威圧的な言動にトラウマを感じてたみたい。
でも僕は変わらなかった。
彼女の前ではカッコつけないで最初っから素の自分を出してましたから・・・。
だから彼女は僕のドジなところもカッコ悪いとこも恥ずかしいところも
全部知ってます。
で、そこまで優しさにこだわる必要ないんじゃないの?って思われるかも
しれませんね・・・。
中には、お互いの胸の内をさらけ出して喧嘩しても自分の考えを譲らないって
カップルもいて、それはそれでバランスが取れてるんでしょうけど、少なくとも
彼女はそういうタイプじゃないし、僕も違う。
彼女は争いにはトラウマを持ってるわけで、そのことに関してはデリケートな
子だから、僕はこだわるんです。
彼女は僕と一緒になってようやく心の安らぎを得たんだと思いますね。
それはもう習慣って言うか、いつしか優しさは固定された感情になっていて、
決してブレない・・・死ぬまで変ることはないと思います。
結局一番大事なのは思いやりと優しさなんじゃないんでしょうかね。
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