第44話:卒業おめでとう。

第10話:卒業おめでとう。


僕と麻美子「嫁」ちゃんが付き合ってた頃の話。


麻美子ちゃんの両親にも学校にも隠し通して、ようやく彼女が、めでたく

高校を卒業することになりました。


卒業のお祝いをしてあげようと思って、知り合いのお菓子屋さんに無理

言って手作りケーキを作らせてもらったんです。


それと、くす玉・・・・紐を引っ張ったらパカッと開いて「卒業おめでとう」

って小さな垂れ幕が垂れ下がるって、小ぶりのくす玉。

そのくす玉を車のルームミラーにかけて、彼女に紐を引っ張ってもらうって趣向。


あと、車のドアを開けたら、彼女ちゃんに見えるようドアの内側にも

「卒業おめでとう」って書いた小さい横断幕。


で、兄貴の奥さん、義姉がそれを僕がセコセコ作ってるのを見て


「そんなの作ってどうするの?」って聞かれたから、麻美子ちゃんの卒業イベントを

個人的にプロデュースすることを一通り説明してあげると


「彼女ちゃん、幸せもんだね」

「あなたのお兄さんなって、な〜んにもしてくれかったわよ」

「いいよね〜あんたたちラブラブで、うらやましい・・・がんばってね」


ってそう言われた。


で、手作りケーキを持って同じく手作りのお祝い道具一式、車に積んで、

彼女ちゃんの卒業式が終わる前に、いざ学校へ。


彼女の通ってる学校は、毎年卒業式の日になると、いい車が校門も前に

ずら〜っ並ぶんです。

ほんとは駐車しちゃいけないんですけどね。

だれも守らないですよね。


で、僕は、こっそりと目立たないところに車を止めて式が終わって彼女が

出てくるのを待ってるわけです。

あまり目立っちゃいけないってのは、卒業式に彼女のお母さんが来てるから・・・

もし見つかるとやっかいだからです。


で、式が終わって彼女が出てきて、そのまま彼女を車に乗せて、海の見える

埠頭まで車を走らせて、そこでふたりっきりの卒業祝いですよ。


まずはくす玉ね・・・彼女に紐をひっぱってもらって・・・パカッとくす玉が・・・ってなるはずだったのに、くす玉が開く前に紐が先にブチッと切れた

んです。


くす玉開かないし・・・肝心の垂れ幕出てこないし・・・で僕は、焦って

しかたなく手でパカッと・・・。

申し訳なさそうに「卒業おめでとう」の垂れ幕が・・・。


でも、その失敗を彼女ちゃんがウケけてくれて・・・逆に失敗したほうがよかった

りなんかしてね。

で、ケーキをふたりで食べて・・・ケーキは僕が作ったんだよって言うと

めっちゃ驚いてくれて、美味しい美味しいって食べてくれて頑張って作った

甲斐がありましたね、よかった〜って思いました。


それに味をしめた僕は、それから彼女の誕生日にもなにかとサプライズ考えて

ましたね。

彼女が麻美子ちゃん驚いて喜んでくれるのが僕にとっての喜びになりました。


僕がした麻美子ちゃんへのプレゼントで彼女が一番驚いてくれてくれて、

おまけに一番お金がかかったのは披露宴のあと、ウェディングホールから参列者の

みんなと外に出た時の打ち上げ花火かな。


いくら費用がかかったかは内緒、その金額、麻美子ちゃんは今も知らない。


つづく。



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