第43話:泣きっ面に蜂からのホテル。

麻美子ちゃんが女子高生だから知ってる人の見つかっちゃうとなにかと

やっかいだからデートは主に市外や県外。


ある日のこと。

いつものように麻美子ちゃんと長距離ドライブ。

で、松の防風林を過ぎると綺麗な砂浜があって海が見える場所に

麻美子ちゃんを連れて行って、車を止めて冗談やバカを言い合ってたら

僕がなにか麻美子ちゃんの気に触ることを口走ったらしいんだね。

その時、僕が何を行ったかはもう覚えてないけどね。


で、麻美子ちゃんがスネちゃって・・・口をきいてくれなくなっちゃって。

なだめてもスカしてもダメ・・・押しも引きもできない。

プイッと横を向いたままご機嫌斜めになってる。


「あのさ、機嫌直して、ね?僕が悪かったから」


「もういい」


そう言って麻美子ちゃんは助手席の窓のほうを向いたまま振り向いてくれない。


「僕たち、もう終わりなの?」


って試しに聞いてみたら・・・麻美子ちゃんがうんってうなずいたんだわ。


そうなんだ・・・こんな形で終わるんだって思って車を出したんだけど・・・

帰り道雨が降り始めて・・・ワイパー回さないと前が見えないくらいになって

苛立ってたら、なんとこれまたワイパーが動かなくなって・・・。


だから、しかたなく運転席の窓を開けてタオルでフロントガラスを拭きながら

帰ってたら今度はワパーが外れてどこかへ飛んで行ったんだ。


もう泣きっ面に蜂だよ。


で僕は車を止めてワイパーを探しに行こうと思ったら、いきなり麻美子ちゃん

が僕の服を掴んで


「別れたくない」って・・・。


え〜今それ言う?

だからワイパー探しに行くのをやめて麻美子ちゃんをハグしたんだな。


「ヤだ・・・離れたくない」


そう言って、おいおい泣くから・・・。

しかたないよね。


だから麻美子ちゃんに大丈夫だから、別れたりしないからって言っておいて

どこかに吹っ飛んで行ったワイパーを探しに行って見つけたワイパーを雨の中

取り付けて・・・で、そのまま車を運転して麻美子ちゃんを家まで送り届けた・・・

と思うでしょ?


そんなシュチュエーションの中、素直に送り届けるわけないじゃないですか。

そんな時って彼女を無性に抱きたくなるですよね。

そのままホテルに直行です。

そこで彼女をちゃんとエスコートしなきゃ彼氏失格でしょ?


つづく。

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