第45話:友達の彼氏を誘惑する女。
夕方、麻美子ちゃんから連絡が入って今、スナックにいるんだけど・・・。
なんでも麻美子ちゃんの友達「同級生」が彼氏にフラれたとかで、
「今その子と一緒にいるんだけど、めちゃ落ち込んでるからとっても心配
で放っておけない、私門限があるから帰らなくちゃいけないの」
「で、ごめんだけどスナックまで来て、その子家まで送ってあげてほしいの」
大事な彼女の頼みだから断るわけにもいかないでしょ。
で、僕は指定されたスナックまで行ったわけです。
店の中に入るとカウンターの端っこに座ってる麻美子ちゃんと、その友達の
子を発見。
麻美子ちゃんは僕に「ごめんね、彼女のことお願い」そう言って僕と友達を残し
タクシーで帰って行きました。
残った僕と麻美子ちゃんの友達のその子。
その子に家まで送って行くからって言うと、帰りたくないってわがままなことを
言うんだな。
住所を教えてくれないと送っていけないですよね。
このまま埠頭まで行ってって言われて、しかたないのでフェリー埠頭まで
車を走らせて岸壁横に車を止めたんです。
まあしばらくそこで休憩したら住所を教えてくれるだろうと思って待ってた
んです。
そしたら・・・いきなり
「抱いて」って。
聞き捨てならん言葉を・・・一瞬、空耳かと思いました。
そしたら、さらに「ホテルに連れてって」って言われて・・・。
僕の彼女の友達ですよ・・・その子からしたら自分の友達の彼氏ですよ、僕は。
友達の彼氏、誘惑するのか?
それで友達って言える?・・・麻美子ちゃんを裏切るのか?それ間違ってるだろ。
とうぜん、僕は「僕には彼女がいるからそういうことはできない」って
断りましたよ。
もし誘いに乗ってホテルに行っちゃったら、それが麻美子ちゃんに、もし
バレたら、アウトでしょ。
いや、バレるバレないっていう前に恋人がいるのにそんな誘いに乗っやっちゃ
いけないでしょ。
送って行くからって言って家の場所を無理やり聞き出して彼女ちゃんの友達
を家まで送っていきました。
それは、僕の鉄壁の不動心でなにごともなく終わったんですけど、
でもそのことを麻美子ちゃんに黙っておく訳にはいかないと思って、次の朝、
麻美子ちゃんに連絡して、実はこういうことがあったんだよって話したら
それを聞いた麻美子ちゃん、動揺したあとスネちゃってね。
「もういい、何も考えたくないから」って言われて電話切られました。
ありゃりゃ・・・言わないほうがよかったかなって思ったけど黙っておく
わけにはいかない、見過ごせなかったからね。
傷口が広がらないうちに早めに塞いでおかないと的な・・・。
でまあ、次のデートに来てくれないかと思ったらデート当日待ち合わせ
場所にいましたね、麻美子ちゃん。
僕の電話を切ったあと、その友達に連絡して確かめたらしいです。
僕が友達の誘惑に負けて浮気してないかどうか。
そしたらその友達に言われたんですって。
「私の誘いに乗って来ないあんな珍しい男いるんだね」って。
「あんな貴重な彼氏、絶対放しちゃダメだよ」って言われたらしいです。
女の誘いに乗らない男って・・・乗らないのが普通でしょ。
君は、きっとクズ男としか付き合って来なかったからそう思うんだよ。
で麻美子ちゃんはその友達のことが許せなくて結局絶交してしまいました。
つづく。
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