第21話 2人
「ん…」
黄色い髪の女性がピクリと動き出し目がゆっくりと開く。周りを見渡し自分の状況を理解しようとしているようだ
確かここに来る前にグラさんに聞いたのは…
(「ちなみに赤い髪がマリー、黄色い髪がノーラじゃ。2人ともワシと同じくらい強いから無いとは思うが一応怪我をせんように気をつけるんじゃぞ」)
てことはこっちはノーラか。
「目覚めました?ノーラさん」
「マリー…?」
ちなみにマリーの方は10分ほど前に目が覚めておりアンナと話していたところだ。
「ご無事で何よりです。この方々はグラのお仲間で私たちを助けてくれたのですよ」
マリーは目を覚ました時随分落ち着いており割とすぐに状況をだいたい把握できていたらしく、俺たちの素生、名前を確認だけしてアンナとガールズトークに花を咲かせていた
ちなみに、私も女の子だからお話すると言って話に参加していたラミーユは眠ってしまった
髪の保湿の話とか肌のケアとかそんな話だったのだが…そういえばこいつ肌は綺麗だし髪も結構つやつやなんだよな
ノーラはマリーの説明に安心したかのように目をつぶった
「あのお人好し、私たちに万が一があれば切り捨てる話だったじゃないの」
「ふふっグラと交流できたらお礼を言わないとですね」
「そうね。」
ノーラはゆっくり体を起こし壁に背を預ける
「あなたたちが助けてくれたのね。ありがとう。…ふぅん?人間にしては強いじゃない。特にそこで寝てる子」
…やっぱり俺たちはちゃんと強くなってたりするのだろうか
「ノーラ…さんが目を覚ました事だしここから出ようと思うんだが、動けそうか?」
「呼び捨てで構わないわ。そうね、マリーに引っ張っていってもらおうかしら」
俺たちが外に出ると教会の外にグラさんが待っていた
「あれ、グラさん来てたのか。あっちの街で待ってるかと思ったぞ」
「そうしても良かったんじゃがその2人を運ぶのは面倒じゃろうし迎えに来たぞ」
グラさんはノーラとマリーを抱きしめた
「無事で本当に良かった…」
「グラこそ。ありがとうね」
「ありがとうございます、グラ。助かりました」
3人は数分間抱きしめあっていた
大事な仲間が捕まっていたなら確かに心配だよなぁ…
「みんな、本当にありがとう。…じゃがこの街から一旦離れた方がいいかもじゃな。」
周りを見ると街の住人達にかなり注目されていた。
アンナとラミーユはフードを被っていないため注目されるのはかなりまずい
「悪いグラさん。転移してくれ」
「おう任せい」
グラさんが呪文をつぶやくと一瞬にしてグラさんのダンジョンに戻ってきた
グラさんは街全体のオークなどのモンスターを討伐、その死体を処理した後に教会以外の街全体に幻術を使いオークやアースなどの記憶を全て抹消し俺たちを待っていたそうな。
(我の常在スキルが幻術を無効化するはずなのだがな。効果範囲外にいたとはいえ我も感知出来なかった。…フッなかなか面白い)
幻術の2つ名を冠するアースよりもグラさんの幻術の方が強いってことか
「ねぇこの剣って魔王城にあったやつだよね、なんで喋るの」
「神器だからじゃないですか…?でも神器が喋ってるところ初めて見ました」
ノーラとマリーはいつの間にか復活しておりディレメスをじっと見ている
「名前はもう先に言っておったが改めて紹介するぞ。赤い方がマリーで黄色の方がノーラじゃ」
「はーい。赤い方のマリーです」
「説明雑すぎない?マリーもそれでいいの?」
黄色の方のノーラがコホンと咳払いする
「私はノーラ。基本雷の魔術を使うわ。まぁこんな見た目だけど人外よ」
「改めまして、マリーです。回復の魔術が得意です。人間ではありませんよ」
「この2人はワシとは違い種族名はあまり公にしておらん。ライト君達には悪いがまだ内緒にさせてもらうぞ」
「それで?2人とも。何があった」
ライト君たちを1度外に待たせてワシは2人に今回の件を聞くことにした
「正直お主らがあのアースに負けるとは思えん。アースは確かに強いが…他に誰かいたのか」
アースはそこそこ強いパーティーなら瞬殺できるくらいに強い。
ラミーユちゃんに負けたと聞いたが幻術と体術を駆使して戦うスタンスは厄介、だが幻術はディレメスが無効化し、体術は化け物レベルのラミーユちゃんに上回られて敗北した。
相手が悪かったようだ
「…魔王よ。魔王が裏で手引きをしていて、私たちの動きに気づいたみたい」
「…!であればワシらはもう既に魔王軍では無いのか」
「そうです。グラの第4席、私たちの第5、第6席にはもう既に後任が。結果として第1席だけがそのまま引き継ぐ形となりました」
「あやつか。…まぁあやつは滅多なことがない限りはやられんじゃろ…」
「話を戻すけど魔王はなにか大きいことを目論んでる。詳しいことまでは分からないんだけど…」
「前回はあの勇者に負けてしまったので今回は妥協なしで本気みたいです」
魔王も人類のことを見くびっていたわけじゃない。あそこまで規格外のパーティーを魔王すら見たこと無かっただけだった
「まぁ魔王も相当歳いっておるから焦っておるんじゃろ。とっとと娘に魔王の座を譲ればいいものを。娘の方が魔王としての素質はあるしのう」
「随分余裕そうね?世界が滅亡するかもしれないのに」
「もしかしてあの4人にそこまでの見込みが?」
「なっはっはっ。あの子たちはもっと強くなるぞ。ライト君はあの魔女の唯一の弟子じゃからな」
「魔女って…あのエティカ・フロリア!?」
「あぁ。今はどこで何をしておるか知らないらしいがな」
そんな会話をしているワシらに向かってマリーが首を傾げて言った
「エティカさんって見間違えでなければ魔王城にいましたよ?」
「「は?」」
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