第14話 強さとは
(転生者については悪いが我も詳しくはわかっていない。ただ我の元々の所有者はニホンという地で生まれ育ったそうだ。全員そこなのかは分からないし我も元々の所有者について素性を知らない)
「元々の所有者とはこのように会話してなかったのかのぅ?」
(もちろん話してはいた。モンスターに合わせた出力調整などの話を。だがこうやって質問などはされなかった。強いて言うなら我がどれほどの性能があるかどうか聞かれただけだ。会話ができても我と所有者は武器とそれを振るう者という関係でしか無かったのだ)
ディレメスの赤い宝石が弱々しく光る
…落ち込んでいるのか?
なんというか元彼と上手くいかなかった女の人みたいな雰囲気だ
「ふむ、答えてくれて感謝するぞ。」
(礼など不要。今はこうして新しい所有者と出会えたわけだ。貴殿には感謝している。あのまま魔王城から持ち出されなかったら我は神器ということを忘れてしまうところだったのだ。…む?どうしたのだ所有者よ)
気づけばラミーユがディレメスを抱えていた
「あなたは、強い剣なの?」
(…話を聞いていたか?我は神器のひとつ、聖剣ディレメスだ。並大抵の剣と比べられては困る)
「私はあなたを使えばもっと強くなれる?」
(無論だ。はっきり言うが貴殿は元の所有者の戦闘能力を圧倒的に上回っている。貴殿なら我を扱う事が可能であろう。貴殿はさらに強くなる。)
「そう…あと、私はしょゆーしゃとかきでん?じゃない。ラミーユ」
(それは失礼した。ラミーユ嬢)
ラミーユは、じょう…?と首を傾げていたがまぁいいやとつぶやき
「これからよろしくねディレメス」
(こちらこそだ。ラミーユ嬢)
…どうやらとりあえずは仲が良くなったみたいだ
ずっと黙っていたレンやアンナを見ると話はついていけていないが落ち着くところに落ち着いたのは察した様子だった
今日の収穫。うちの戦闘狂がさらに特化された
そうして何日か日にちがたった、いつものようにダンジョンに潜るとグラさんと、ディレメスを構えたラミーユがいた。まぁ今のメンバーで1番実力が近いのはグラさんだから仕方ない。
そしてその様子を眺めるレンの姿があった
「来たかライト、あれ?アンナは?」
「実家の手伝いらしい。あいつは正直冒険者じゃなくて実家の方が優先度高いしな。謝ってたぞ」
「まぁ仕方ないか。俺みたいに家を出たわけじゃないし」
周りを見渡すとレンの奥にはゴブリンの死体が大量にあった。どうやら今日の分は俺が来る前に片付けてしまったらしい
「なんというか、俺の想像していた修行とえらく違うよな」
毎日死ぬほど走らされたり、強いモンスターのいるダンジョンに放り投げられたり、魔力を維持するためのトレーニングだったり。そんな修行を思い浮かべていたんだが実際は1日1回湧くゴブリンの群れを討伐して残りは全部時間の消費
正直ただこのダンジョンにたむろするヤバいやつらとしかなってない気がする
「でもグラさんはなんか考えてるみたいだぞ」
「ふーん。まぁあの人実力はレベルが違うし黙ってついて行くしかないけど」
ちなみに師匠が昔修行をつけてくれていた頃は魔術を教えてもらい、師匠に向かって放つ。それだけ。師匠は魔術は普通1日1個のペースで覚えられるものじゃないと言っていたがあの人自分が強すぎてほかの一般人を相当下に見てる可能性がある。まぁあの化け物からすれば実際相当下だ。
「よし、じゃあ俺達も手合わせするか」
「おっけ、今日も勝つ」
剣士と魔術師が手合わせするのははっきりいっておかしい。剣士は前衛職、魔術師は後衛職。戦う土俵が違うのだ。だが俺達も毒されてきたのかたまに手合わせするようになった
魔術師なのにバリバリ前衛職の盗賊とやり合えるグラさん、ディレメスを手に入れたことで圧倒的な剣技と威力を底上げされたラミーユ。あの二人がなぜ互角で戦えているのか。そんなこと考えていたら馬鹿らしくて考えるのをやめたのだ
ちなみにラミーユはつい先日グラさんに1本を取ることが出来た。武器の力があるとはいえこれは快挙だ。グラさんは泣きながら褒めてた
「よし、位置についたな。いつでもいいぞ」
俺とレンは2mほど距離を取り互いに武器を構える。
俺とレンの戦績は7勝4敗。
勝因は単純に距離を取り続けて魔術を放ち続けているから
だから今日はレンと素直に戦ってみることにした。要は近接戦だ。距離を捨てた魔術師は瞬殺されるが一応あの師匠にフィジカル面も鍛えられていたことがあるので試してみる。
ちなみにレンにはこのことは伝えておらず、いつも通り魔術による第1撃を防ぐ構えだ
俺は杖を構え、魔術の詠唱などせずに思いっきり突っ込んで行った
俺は地に突っ伏しながらもレンにニヤリと笑った
「距離取って魔術連打なら俺が勝ってた」
「突っ込んできたのお前だろ。お前じゃまだグラさんとかお前の師匠レベルにならねぇよ」
俺はあの化物二人を見て勘違いしたただ痛い一般魔術師だということをよく理解した
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