第10話 最強
グラさんに助けられ、俺は正直に師匠のことを話した
「なんと!あのエティカに弟子がいたとはのう
!あの無愛想な魔女が弟子を取るなんてエティカ自身思わなかったじゃろうなぁ」
なっはっはっはとグラさんは笑う
「なぁグラさん、師匠からは武勇伝はよく聞くけど詳細は全然聞けなかったんだよ、どんな人だったんだ?」
「ふーむ、どんな…かぁ。まずあやつは人間のくせにめちゃくちゃじゃ。全ての属性の魔術を操ることが出来るが炎の魔術がピカイチじゃったぞ」
だから師匠の教える攻撃魔術は炎が多かったのか
「ワシが氷をメインとして使うから相性が悪かったんじゃよ。だからワシは何度あやつに挑んでも勝てなかった」
俺は師匠の武勇伝とか昔話が好きだ。本人には絶対に言わないが俺の尊敬する人はすごいんだとよくわかるからだ。
だから小さい頃から師匠が何度も同じ話をしても目を輝かせて聞けていた
「あやつはあの時の仲間を心底愛しておった。多分当時はあの仲間たちがいれば何もいらないと思うくらいじゃろうな
さすがにあれから何百年も経ったしさすがにエティカ以外は死んどるじゃろ。…だからライトくんを弟子にとった…?そんなことないか。
あのパーティーは本当に強かった。一人一人がありえない強さを持っていたからのう。1番ずばぬけてたのはエティカじゃったが…どれだけ強くても歳には勝てんよ」
伝説の勇者パーティーは歴代最強のパーティーだ。そのひとりが師匠なのだから伝説と言われても身近に感じる
…あれ?
「そういえばグラさん、現役時代の師匠を知ってるみたいだけどグラさんってもしかして人じゃない…?」
「ん?あぁワシは…」
ーーーーーーーーーーーーー
「そんな感じでワシとライトくんは出会った訳じゃな。」
「ライトの師匠と戦って接戦に持ち込めるの普通にやばいね…」
それは俺も思う
「ん、エティカと接戦するのすごい、やっぱりエティカすごい」
ラミーユはちょっとズレたことを言っているがまぁいい
「でもなんでライトの師匠とグラさんはやり合ったんだ?グラさんから煽ったりしたのか?」
「あ、そうかグラさん、そういえば言ってなくね?」
「おおそういえばそうじゃったな」
グラさんは改めて服装を整えて言い放った。
「ワシは魔王軍幹部の第4席、『冷却死人』のグランディータ。12人いる魔王軍幹部のひとりじゃ」
「「はぁ!?」」
「れーきゃくしじん…?」
伝説の勇者パーティーが滅ぼされたとされる魔王軍、ただのおとぎ話かと思われたそれは実在していた。
伝説の勇者パーティーの1人だった師匠がいるんだし魔王軍も実在してるよなぁって何故か納得してしまった
グラさんは魔王軍幹部として伝説の勇者パーティーと対面したのだ
「冷却死人はそのまますぎて気に入ってないが聞こえがかっこいいからそのまま2つ名として使っておる」
「い、いやそこじゃねぇ!魔王軍幹部!?」
「リッチでも驚いたけどこっちもかなり衝撃的よ!」
「ん、びっくり」
微かにレンとアンナが後ろに下がった
「あぁ、魔王城防衛の時以外は干渉しない、そんな約束で魔王城の結界の維持も任されておる。」
「ん?魔王ってもうやられたんじゃないのか?」
伝説の勇者パーティーは魔王軍を倒して、平和をもたらし伝説そのものになったのだ
「あぁじゃが魔王とは文字通り魔の王じゃぞ。復活なんて容易いんじゃよ。そして復活に伴ってワシと3人以外の計8人が新しく魔王軍幹部となった。誰が新しく幹部となったか知らんけどな」
「つまりまた魔王はもちろん、魔王城も幹部も結界も何もかも復活してたってこと?」
「そういうことじゃな。今は力を貯めてる最中じゃから侵攻はまだまだじゃと思うぞ」
「お、おいこれ、やばいこと聞いちまったんじゃねぇのか…?」
レンがうろたえているが正直もはやどうしようもないと思う
「ギルドに報告するならするがいい。ワシの名前も出せばいい。まだ魔王城が地上出てこない限りはどうしようもないじゃろ」
その通り、確認する術がない
しかも実害が出てるわけじゃない
「しかしなぁ最近魔王軍よりも人間の方が面白そうじゃと思ってな、そろそろ魔王軍を抜けようかと思ってな。」
おっと、これは俺も知らない情報
「なぁライトくん達、ワシの手伝いをしてくれんか?」
「手伝い?」
「あぁ、さっきワシ以外の3人魔王軍幹部が生き残ってると言ったわけじゃが、そのうち2人はワシの仲間じゃ。その2人を見つけて欲しい」
グラさんの仲間?
「もし2人を見つけることが出来たらワシら3人は魔王軍を抜ける。3人も幹部がいなくなれば魔王のやつも焦るじゃろうなぁ?」
なっはっはと笑うがそんな簡単な話じゃないだろうに…
俺は3人にアイコンタクトを送る。アンナとレンは頷き、ラミーユは首を傾げていた。
「わかった。その話乗った。」
「おお!ありがとう!それなら早速…!」
グラさんがパチンと指を鳴らすと1面氷だった空間に大きな地図のようなものが浮かび上がっていた
「お、おいこれってまさか…」
「あぁ、シガリー王国の地図じゃな。ワシの仲間2人はおおよそ見当はついておるがみんなには確認して欲しい訳じゃな。」
…それって俺ら必要あるか?
正直この人だけで十分なんじゃ…
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