第7話 4人目

アンナを連れてはんばーぐ屋を後にした俺たちはお世辞にも綺麗とは言えない家に来ていた

「本当にここにその盗賊さんがいるの?」

「あぁ、アンナ悪いがちょっと離れてもらっていいか?」

アンナに少し離れてもらい俺は家の前に立つ。そうして軽くノックをしようとした時だった

「ライト、久しぶり」

突然背後からアンナでは無い女性の声が。

突然の出来事だが俺は驚かない。もう慣れてしまったのだ

「おう1年ぶりだな、ラミーユ」

改めて向き直るとそこには、肩までの長さの銀髪で左目が隠れているが顔立ちが整っているのがよくわかる。軽い装備を纏い腰には二本の短剣。身長は俺よりも少し大きい。

立ち居振る舞いから明らかに只者ではないと分かる

「ん…ずっと会いたかった…」

ラミーユは俺の手を離さないとばかりに抱きしめてきた。胸が当たっているが…悲しいことに絶壁なのであまり何も感じない

「ライト…今失礼なこと考えてた?」

「そんなことないぞ」

女の人の直感ってすごい

そんな俺たちのやり取りを見て口をパクパクしているのが1人。

「ちょ、ちょちょちょちょ!ちょっと待って!今この人どこから現れたの?!」

「そりゃもちろんそのドアからだぞ」

「え、今ドアを開けてすぐ閉めてライトの背後をとったってこと!?」

「まぁそうなるな、さすが師匠のお墨付きの盗賊なだけあるな。」

「ん…」

ちなみにアンナが驚いていることは間違いない。俺も最初やられた時はビビり散らかした

「そういえば…この人誰…?ライトの友達…?」

「あぁ、友達のアンナだ。仲良くしてやってくれ」

アンナもようやく冷静を取り戻してきたのかこほんと咳払いをひとつ。

「アンナ・ドゥーラです。回復職をやっていて、ライトの友達。よろしくね」

「…ん。ラミーユ・カフィ。とーぞく職。ライトの友達ならけーご?はいい。むずかしい話し方はあまり好きじゃない」

「そう?ならそうさせてもらおうかしら。…それとどうしてあなたはずっとライトの腕に抱きついているの…?」

やっぱそこだよなー、俺もアンナの前だし本当は振り払いたいんだけどこいつ掴む強さ強すぎてとっくの昔に諦めたし。絶対振り払えないけどやる素振りは見せるべきか…?でもラミーユに傷つかれたら面倒だしな…

「わたしはライトのもの…そしてライトはわたしのもの、だからだきつくの」

「な゙っ!?」

ラミーユは何故か俺の事を相当気に入っている。

そんなラミーユを師匠が気に入っている。

たまに気に入っているでは片付けられないほど密着されるがもうそういうものとして捉え始めてきている

「ライトがここに来る前に言ってた性格云々って…」

「そう、こういうこと、でもこれはちょっと過去に色々あったんだよ、許してやってくれ」

「過去に…そう…詮索しないでおくわ」

「あぁ、助かる」

本人がよくわかってないが、師匠の魔術でラミーユの過去を覗き見した俺ですら吐き気がしたくらいだ。むしろラミーユがよくわかってないのは不幸中の幸いかもしれない。

「…ライト。けっきょく今日は何しに来たの?」

「あぁ。やっと俺も冒険者になったからな、ラミーユに仲間になって欲しいって誘いに来たんだよ」

「ほんと?ライトと冒険できる?」

「あぁようやく20歳になれたからな。これからもよろしく頼むぞラミーユ」

ーこうしてついに俺は冒険者になり、仲間も3人集まった。

今日のところは一度解散し、明日から本格的にダンジョン攻略ということになった。しかしラミーユが2人で話があると言われ残ることになった

「ライト、エティカは帰ってきたの?」

「いいや、帰ってきてない。でもたまに俺の夢に定期連絡みたいなのしてくるんだよなぁ」

「そう…」

師匠に可愛がられていたラミーユは師匠がいなくなった時すぐさま探しに行こうとしたらしい

しかし俺がきっとすぐ帰ってくると言うとそれを信じて待ち続けたのだ。

「ここ最近、エティカに似た魔力を街の近くで感じたんだけど…きのせいかな」

「アレレベルの魔力なんて人違いとか気の所為とかありえないだろうなぁ…もしかしたら帰ってきてるかもしれない。俺たちにすら会わずに」

「というかライトが来る前にちょっといた気がする、ライトに会いたかったんじゃないかな」

帰ってきてたのか。ふーむ…?

帰ってきてるんなら顔くらい見せろと言いたいが何か理由があるかもしれない

「ライトはエティカに会いたい…?」

「会いたいっちゃ会いたいな。かれこれ2年半くらい会ってないし、そもそもあの山どうすんのか聞きたい」

「うん、わたしも会いたい。またエティカと遊びたい」

………

「じゃああのバカ師匠に会えたらガツンと言ってやろうな、出かけるならいつまでに帰ってくるかいうかたまに帰ってこいって」

「ん、話はそれだけ、残ってくれてありがとうね、またあした」

「あぁまた明日」

そういいラミーユは家に戻って行った

「戻るのを待ってるのは俺だけじゃないってことだよ、師匠」

明日からはダンジョン探索だ。久々に師匠の部屋に入ってポーションとか媒介を持ち出すとしようか

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