第8話 おひさまいろの海

 長老ねこにきかれて、くろにゃんとしろにゃんは

一生懸命にだめにゃんのことを思いだして考えました。


「だめにゃんじゃない。

 いつもにこにこして、お客をみていた。

 だめにゃんがいたら、子猫はまいごにならなかったかも」

「いつも海をみていたよ。

 だめにゃんなら、きっと雨がくるのがわかったかも」


「おまえたち、ここへきてごらん」

長老ねこは、くろにゃんとしろにゃんを山のうえのてっぺんの岩に

つれていきました。

みぃがいつも海をみていたところです。


「ここからみると港はキラキラしているだろ。

 市場がはじまると、ぼぅとあがった湯気のなかで、

 さかなもお客もおまえたちもキラキラとかがやいているんだよ。

 そして市場がおわるころには、空高くあがったおひさまに照らされて、

 海がおひさまいろにそまっていく。

 とってもきれいなんだよぉって、

 あそこに行って一緒に働けるんだ、とってもうれしいなって、

 話していた子なら知っているよ。おまえたちがさがしているのは…」


「うん、そう。その子!」

くろにゃんとしろにゃんは、そろって大声で言いました。

「ぼくたちむかえにきたんだ。

 一緒にさかなを売って、一緒におひさまいろの海をみようって、

 伝えてくれる」 【完】

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おひさまいろの海 みその ちい @omiso-no-chii

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