第4話 あいつ だめにゃん

 くろにゃんとしろにゃんは、最初に聞いたみぃの名前を忘れてしまいました。

なぜって、ふたりでみぃをどなり、

「だめだめ、全部だめにゃん」というようになったからです。


「もたもたしてぇ、あいつだめにゃん」

「にこにこしてぇ、それよりしっかり覚えてくれよ。あいつだめにゃん」

「またきょうもおそいぞ。あいつだめにゃん」

「はやくしろっていうと、あせってよけいに間違える。あいつだめにゃん」

「またまちがえたぞぉ。あいつだめにゃん」

「ほんとになにをやってもだめにゃん」


 くろにゃんとしろにゃんは、だめにゃんに山のうえ村に帰ってもらうことに

しました。

港の魚市場は目がまわるほどいそがしいけれど、

なにをやってもだめなだめにゃんは、いらないって、

いないほうが次から次へとタッタタッタと売れるって思いました。

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