第2話 山のふもとに

 山のふもと、海にお椀をふせて切り取ったような入り江に港がありました。


「おぉーい はやくしろぉ。うしろ並んでいるぞぉ」

くろねこのくろにゃんが大声でどなりました。

「おぉーい まちがえるなぁ。きょうのアジは高いんだぞぉ」

しろねこのしろにゃんも大声でどなりました。


 ここは港にある魚市場です。

朝早くから大忙し。おおぜいのお客さまがきて、長い長い列を作っています。


「はい、つぎぃ きょうのアジは280円」

くろにゃんとしろにゃんは、機械のように動いて、

次から次へとタッタタッタと売っていきます。


その合間に雨が降りださないかと空をみて、迷子がいないかとお客をみて、

そしてかわるがわる「はやくしろぉ、まちがえるなぁ」とどなります。

どなられているのは、みけねこのみぃ。

山のうえ村から下りてきて、魚市場の新入りとして働きはじめたのです。







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