可愛い幼馴染に俺はアレを握られてゆっくり眠れそうにありません。
『未祐のヤツめ、相変わらず素直じゃないな……』
俺の取り出したえっちな本、その表紙に貼られた新しいタイトルとは……!?
【妹とラブラブえっちをする方法】
【セーラー服の妹と一晩中♡】
【
『まったく……。めちゃくちゃ可愛いじゃないか』
全部、本のタイトルを妹まみれにしてやがる……。
(以上、この回想が最近起きた俺が一番肝を冷やしたアレな出来事だ)
*******
ふうっ、妹の
俺のしっぽはギリギリで可愛い形状を保てたんだ……。
だが俺はまだ油断は出来ない、幼馴染みの美少女である
ある意味人生を掛けた究極のデスゲームさながらだ、薄皮一枚の氷の上で自分の中の煩悩と必死に戦っている
俺は二宮真奈美が大好きだ。自分でもびっくりするぐらい胸の中は彼女で
俺とは不釣り合いな高嶺の花。少しでも手を触れたら壊れてしまいそうな気高い花だ。そして真奈美の亡くなった愛犬、ショコラとの出会いの話を聞いて俺の想いはなおさら強くなった。いままで彼女の小さなボディーガートとして立派にその勤めを
ショコラは俺にあんまり懐かなかったけど、奴のことは嫌いじゃなかったよな。
もともと俺も未祐も大の動物好きで、将来の夢は獣医になりたいなんて考えたこともある、まあ俺の成績では無理かもしれないが、妹の未祐が猛勉強をして君更津南女子校に合格したことも大きな刺激を受ける要因になったのは紛れもない事実だろう。
……俺に出来る職業って一体何なんだろうか?
俺が獣医を志したきっかけは……!?
過去に追憶をめぐらそうとした俺は、いきなり現実に引き戻されてしまった。
苦悩する俺を尻目に真奈美がちょこんと顔を出していた布団から見えなくなった。
んっ!? いったい新調したばかりの羽根布団の中で何をする気なんだ、真奈美!!
「ショコラの尻尾は私の手のひらの中でモニュモニュ動くのがとっても可愛かったんだよ♡ あれっ!? 拓也くんのしっぽさんもおんなじ動きをしてるかも……」
ああああ、駄目だっ、しっぽに顔を接近させちゃ危険すぎるぅ!!
と、吐息でネットリはイケないルージュ◯ジックになっちゃうよ。何のこれしきとばかり教授が今際の際を知ろうと仲良くロードバイクを漕ぎ出しちゃううう!!
全国のサイクル野郎がバラバラに日本一周の旅に出発進行するつもりなのか!?
俺は悦楽のタイトロープから完全に落下寸前だった……。
奈落には落ちたくはない、誰か助けて!!
「こうしてしっぽをギュッってしてると何だか昔を思い出すな……。 ショコラのこと。いつも私が学校に出掛けるとき、二度と私と会えなくなる今生の別れみたいに寂しがってとても悲しそうな鳴き声を上げたの、くぅん、くぅんと切なそうな声で……。そんなときは真奈美がショコラのしっぽを優しく撫でてあげたんだよ」
真奈美の穏やかな言葉に俺は背中に冷水を浴びせられた気分になった。
そうだ!! 俺はショコラのしっぽの代わりになるんじゃなかったのか!?
彼女にとって最愛の友達であり家族だった愛犬ショコラを亡くして、失意に暮れるその気持ちは痛いほど分かる、俺や未祐、そして俺の家族も大の動物好きだから。
もしも愛猫のムギが天国に召されることを少しでも想像しただけで胸が痛くなる。
ムギもある程度の年齢で動物病院の健康診断の結果も決して良いわけじゃない……。
だから未祐にも口うるさくおやつを上げすぎないようにってつい言ってしまうんだ。
「そういえば真奈美とショコラは本当の兄妹みたいな関係だったんだよな……」
「そう、真奈美とショコラは兄妹みたい……。あれっ、拓也くん、何でショコラがお兄ちゃんなの!? どっちかって言えば私のほうが絶対にお姉ちゃんのポジションじゃない!!」
……良かった、少しだけ真奈美は元気を取り戻してくれたみたいだ、彼女の抗議めいた口調にも俺は何だか嬉しくなってしまった。
「どっちかっていわれても昔からショコラのほうが、真奈美の本当のお兄さんみたいに鋭い目を光らせて俺を威嚇していたよ。この部屋に真奈美が遊びに来たときに何回、本気噛みをされたか分からないし……」
「ぷっ、あはははっ!!」
真奈美が笑いころげながら布団の中から顔を出す。
「でも拓也くんの言う通りかもしれない、ショコラはいつも私をやさしくエスコートしてくれたから……」
そうなんだ、ショコラの犬種であるトイプードルは警察犬に採用されるほど優秀で、そのモフモフしたぬいぐるみみたいな外見からとても想像できないくらい頭が賢いんだ。
特に水鳥の回収を行う狩猟犬のルーツを持つトイプードルは匂いを嗅ぎ分ける能力はずば抜けている。
「子供の頃、裏の森で迷子になった真奈美を見つけ出したのもショコラだったからな、本当に賢いわんこだったよな、いまでも誇らしげなショコラのドヤ顔が目に浮かぶよ」
「拓也くん!? 良く覚えているね、そんな子供の頃の出来事を、私がみんなに心配を掛けてしまったんだよね、あの深い森の中で、かくれんぼの最中に起こった……」
ああ、忘れるはずないだろ、あの夏の日に幼馴染の真奈美の身に起きた事件を……。
神隠しの森で君を永遠に見失ってしまうところだったんだ。
俺はもう二度とあんな思いはしたくないんだよ、真奈美……。
次回に続く。
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