可愛い妹は俺のキモチをがっちり掴まないと安心して眠れないそうです。そのに

拓也たくやおにい、恩に着るよ、お礼に耳寄りな未祐情報教えたげよっか?」


 じつは未祐は家でも学校でもかなりの情報通だ、自分は奥手なくせに

 友達の恋バナが大好物みたいだからな。往年のギャルゲーや少年誌のラブコメに

 良くテンプレで登場する女の子ヒロインについての情報通な親友の役回りなんだ……。

 未祐の話に良く登場する親友の森田千穂もりたちほちゃんはまた違った意味で女子高のゴシップガールの異名を取り、夢小説の執筆ネタを求めて日夜情報収集に明け暮れているそうだから、その助手的なポジションなんだと、未祐は俺に笑いながら教えてくれたんだ。|


「何だ、耳寄りな情報って、もしかして女子校のえっちな秘密とかか!?」


「もうっ、拓也お兄ったら、結構エロいんだから、このどスケベ!! 残念ながら違う情報だよ、未祐の情報は赤星家の公開取り締まりの件なんだ……」


 おわっ、赤星家恒例の一斉検問の件か!? その情報は俺にはとてもありがたい。

 なぜなら男子高校生なら誰でも経験がある大事なことだからなんだ。

 去年は事前に一斉検問の情報がキャッチ出来なくて、かなりの大惨事になったからな……。


 ……俺の脳裏に忌まわしい過去の思い出が蘇ってきた。


 未祐と俺は血の繋がりがないと以前にも説明したが、母親の初美はつみさんは、大の綺麗好きで何でも風水とか断捨離に凝っていて、しょっちゅう部屋の模様替えや家中を掃除するんだ。それが趣味と言っても過言ではない。


 その大掃除は俺の部屋まで及ぶ、健全な男子高校生なら母親に部屋を勝手に掃除されることがどんなに嫌か、それは諸君も同じだろう。 


 去年は秘蔵のえっちな本コレクションがあいうえお順にパソコンデスクの上にずらりと並べられていたんだ……。 


 これはキツかった、まるで公開処刑にかけられた犯罪人みたいだった。


「お母さんの掃除がいつこの部屋に入るのか、拓也お兄は知りたくない?」


 知りたい!! 知りたい!! そしてお宝コレクションを避難する時間を何とか確保出来れば最高だ。


「じゃあ特別に未祐が教えてあげる、公開模様替えはこの後すぐ開催予定だよ!!」


 ええっ!? この後すぐだと俺のお宝コレクションを隠す時間が全然足りないじゃん!! まさに絶体絶命だ、一体どうすればいいんだ!?


「もうお母さんは一階でスタンバイしていたよ。さあ拓也お兄、どうする、今日は出血大サービスで未祐が全面的に協力してあげようか……。 イヤらしい本の隠し場所を提供してやってもいいんだよ」


「えええっ!? 何でお前が俺のえっちなお宝本の存在ありかを知っているのぉ!!」


「……いまさらバレてないと思う方がどうかしてるよ拓也お兄、お宝を失わない唯一の方法は未祐の部屋に一時的に避難しかないと思うけど」


 う~ん、妹に俺の性癖を知られるもめちゃくちゃ恥ずかしいが中学時代からコツコツ集めた秘蔵のお宝コレクションにはなんとも代えがたい、これは恥を忍んでお願いするしかないな……。


「分かったよ未祐、だけどお兄ちゃんとこれだけは固く約束してくれ、その箱は絶体に開けるなよ、これはお笑いの前ふりじゃないぞ、絶体にだ!!」


「……拓也お兄ちゃんは未祐のことをもっと信用してよ、あっ、もう一階でロボット掃除機の音がし始めてる!! お母さんが二階に来ちゃうよ、急いでお宝の箱を未祐の部屋まで運んで!!」



 *******



 俺は嵐の過ぎ去った夜の自室にてやっと一息ついていた……。


 ふうっ、何とかお宝完全消失の危機は免れたな、どれどれ確認がてら秘密のつつらを開けて恒例のお楽しみタイムとしゃれこんでみようとするか!!


 ……パカッ!!


 うわうわっ!? 何だこりゃ!! 全部のえっちな本のタイトルが上から模造紙で張り替えられてるじゃないか!!


 俺の性癖を反映したえっちな本の傾向は、可愛い幼馴染みモノが大半を占めているはずなのに、この妙ちきりんな新タイトルはいったい誰の仕業なんだ!?


 んっ!? この癖のある丸文字には見覚えがあるぞ。


 俺は先ほど未祐の部屋で交わした会話を思い出していた。



 *******



『……ねえ、拓也おにいってどんな女の子が好みなの? やっぱり清楚系な幼馴染的な、ええっとね、例えば芸能人の誰ちゃんに似てるとか? 似てないとか? だからその……』


『なんだよ、未祐らしくないな、もっとはっきり喋れよ、女の子の好みって、何でお前に言わなけりゃならないんだ。そ、それに今日は恥ずかしいところを見られちまったからな、……まあ、礼は言っておくよ、ありがとうな未祐、恩に着るよ!!』


 俺の言葉を聞いた途端、未祐の表情にぱあっ、と花が咲いたみたいな笑みがこぼれたんだ、俺はその意味が分からなかった……。


『うん!! 未祐はとっても元気を貰えたよ。反対にありがとうね!! 拓也お兄ちゃん♡ じゃあ、おやすみなさい……』



 *******



「未祐のヤツめ、相変わらず素直じゃないな……」


 俺の取り出したえっちな本、その表紙に貼られた新しいタイトルとは……!?


【妹とラブラブえっちをする方法】

【セーラー服の妹と一晩中♡】

大吟醸妹焼酎だいぎんじょういもじょうちゅうをイッキ飲み!】


「まったく……。めちゃくちゃ可愛いじゃないか」


 全部、本のタイトルを妹まみれにしてやがる……。


 (以上、この回想が最近起きた俺が一番肝を冷やしたな出来事だ)



 健気な妹から可愛い幼馴染な次回に続く!!



 ☆☆☆お礼・お願い☆☆☆


 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。


 面白いと思っていただけましたら、


 レビューの星★★★でご評価頂けたら嬉しいです。


 つまらなければ星★1つで構いません。


 今後の励みや参考にしたいので、何卒お願いしますm(__)m




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る