第7話 達磨と雪玉

「ジア、次の授業何?」

「んぇえ?次…は……実技だ!やったぜ!早く運動場に行こうぜ!」

「ちょっとまって…剣…を…持って…よし、行くか!」


──────運動場にて


「はーい聞けー。今日はこちらが指定したペアで模擬試合をして貰う。時間は20×2の2戦。場所は各自で見つけろー」


「俺の相手は…お」

「俺だぜーー!テオ!!」

「よかった…知ってる奴で」

「ふふふ…1年実質No.1のお前をぶっとばせば俺がトップじゃあ!!」


「それでは試合…開始!」


「おらぁ!」

開始の号令と共にジアの拳が飛んでくる。


(流石ジアだ…攻撃力や正確性で言えばコバンと同じ位……だが…)


ガキィン!ガキィン!!


「いやぁ剣使い相手は戦い辛いねぇ!!」

「…剣を受け止めながら攻撃できる奴に言われたく無いな!」


(速度は俺の方が上だ!)


バキィッッッ!!


ジアの攻撃が剣を弾き飛ばした。

「よっしゃあ!これでお前は終わりだぁぁあ!…ってあれ?どこにいるんだ?」

「…後ろだ!ジア!!」


バギィッッッ!!

テオの渾身のパンチがジアに入った。

壁にジアが叩きつけられる。


「俺の勝ちだな。」

「うえぇ…剣じゃねぇのかよ!びっくりするわ!!」

「まぁ俺も武術を習っていたことがあるからな」

「いやお前剣士だろー!最後まで剣で戦えよおー!」


こうして1回戦が終わった。


「次の相手…相手は…っと」

「あたしだよ!テオくん!」


そこにいたのは学級委員長のフレイだった。

「委員長か。よろしく」

「剣使いでも負けないからね!」

「ここら辺で試合するか?」

「うーんここは人がちょっと多いし…あっちの方で試合しよ!」


───────

こうして2人は運動場の中でも端の方の木が生えた所で戦う事にした。


「…それでは2回戦…開始!」


「いくよ…!雪の子達フィーリ・デラ・ネーヴェ!」


フレイが魔法を唱えると、周囲に雪だるまが召還された。


(こいつら…1体1体が大きい!しかも…こいつら動くのか!?)


「そして…いくよ総攻撃!!流星吹雪メテオラ・トルメンタ!」


雪だるま達が一斉に口から雪玉を打ち出した。


ドドドドドドッッッ!!

……

シューー……


フレイの光で辺り一面砂埃が舞い、勝ったのかどうかも視認できない状況になった…


「ゲホっゲホ…何も見えない…やりすぎたかな…?おーい!テオくーん!!」


「……相性がよく無かったら確実にやられてたな…」


砂埃から既に炎を纏った剣を構えたテオが無傷で出てきた。


(…流石…あのコバンくんを倒した人だ…!強い…!)

「…雪だるまを1体ずつ潰すのは非効率だ……だったら…本体をやるしかないッ!!」


そう言うとテオはフレイの所まで一直線に飛んでいき、胴体から真っ二つに切った。


ガラガラガラ……


(……!……人を切った感覚がしなかった…これは身代わりの魔法…!)


「そうだよテオくん!今切ったのは雪で作った分身…そしてあたしは7体いる雪だるまのどこかにいるよ!」



(…これは厄介な相手だ…!)

そう思いながらテオは剣を構えるのであった。

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